自然の生み出す美を身に纏うアクセサリー:Noriko Herron Glass+Art

私たちがアクセサリーを身につける理由はたくさんあります。ふだんのコーディネートにアクセントが欲しい、パーティーや会食など、行く場所のTPOに合わせた華やかさを添えたい。人によっては誕生石やパワーストーン、勝負アクセサリーなど、お守りのように何かしらのアクセサリーを身につける場合もあるでしょう。

今回ご紹介する国産ブランドNoriko Herron Glass+Art(以下Noriko Herronアクセサリーは、身につけることによって、他の物との関わりや状態によって姿を変える自然物の不思議さを身近に感じることができます。クリアで洗練されたデザインがフォーマルにもカジュアルにも合わせやすいのも魅力的。デザインの美しさのみならず、身につけた時に微かに響くガラスのふれあう涼やかな音が、特別な時間をもたらしてくれます。

デザイナーのヘロン範子さんは、以前はアパレル業界でデザイナーとしてキャリアを積んできました。イタリアでの仕事を経て日本に帰国した後、結婚と出産というライフステージの変化をきっかけに退職しましたが、ものづくりをしたいという欲求は消えることがありませんでした。それならば、今度は自分が本当に表現したいことを形にしようと始めたのが、ガラスアート作品の製作です。

田園調布 I SPACEで展示販売されている夏向けのコレクションで、最初に目に留まったのが、流水と蜘蛛のモチーフを組み合わせたSpider Ringシリーズです。こちらはプラチナを焼成させて製作したSpider Ring Platinum。他にもゴールドを使用したSpider Ring Black Goldやガラスのみで作られたSpider Ring Crystal(透き通っているので一見流水に見えますが、よく見ると蜘蛛が見えます)など、さまざまなバリエーションがあります。

蜘蛛はどちらかと言えば嫌われ者ですが、このように水という自然環境を模したリングとの組み合わせることにより、忌避する対象から自然本来が持つミステリアスで美しい姿をした生き物として、再び私たちの前に立ち現れるのです。

細やかなガラスを贅沢に使ったネックレスは、講演などで人前に出るお仕事の方に好評とのことです。ジャケットの下に着けるネックレスを選ぶ際に、ボリュームのあるハイジュエリーだと大げさになってしまうけれど、コーディネートに華やかさは添えたい、という時にぴったりです。

泡のような薄い球体のBonbonシリーズは、一見するととても繊細に見えますが、意外と耐久性があるそうです(とは言っても勢いよく落とすとまずいのですが)。こちらのBonbon EarringsL+Sugar catchは大きなガラス玉を耳の後ろにつけてキャッチを前につけるとインパクト大。Bonbon Platinum EarringsBonbon Earrings L+ Cobalt catchなど、本体・キャッチともに色や形のバリエーションがあります。

Angelica Earrings。アンジェリカとは、イタリア語で天使という意味で、ふわりとした印象を表しています。夏に見ると流れる水を切り取ったような涼しさが感じられますが、冬に見ると氷に見えるかもしれません。Angelicaシリーズはピアスの他、ネックレスやブレスレットなどもあります。

会場ではシャンデリアの展示販売もしていました。こちらはAngelica Mini。 実は範子さんがアクセサリーを作り始めたのはここ数年のこと。ガラスアートを製作し始めてからしばらくの間は、シャンデリアを製作していました。

ガラスを角型にシェイプさせて、太い針金と合わせたSPIRAL SWANは、有刺鉄線を想起させるデザインで、ちょっぴりパンク。

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ご自身の創作について範子さんは、「ガラス創作の技術は、まだまだ勉強の途中です。でも、ガラスアートを創作していくプロセスは、自然界が創り出す偶然性と重なるところに面白さを感じます」と語っていました。

作品の中で頻繁に使われるモチーフである水は、流れ、留まり、凍り、気化したりと、周囲の環境や状況によって姿を変えます。水に限らず、植物や生き物といった自然界に存在するあらゆる事物は刻々と姿を変え、時として奇跡のように美しい瞬間を私たちに見せてくれるのです。作り手や環境によって完成作品の表情が変わるガラスを使ったNoriko Herronの作品はすべてが一点物で、自然の中で起きる出来事の縮図とも解釈ができます。だからこそ、身につける人との偶発的な出会いによって、それらが本来持つ魅力を解き放つのではないでしょうか。

Source:Noriko Herron Glass+Art