「耳元は人のため」あなたの知的パートナーになるビジネス・イヤリングの法則:NY流ビジネスの第一印象を制するイメージマネジメントvol.05

「ビジネスシーンで身につけるジュエリー、どう選んでいますか?」と聞かれたら、実はその基準考えたことない方がほとんどなのではないでしょうか。

男性と違い、身につける装飾品の種類が多種多様である女性だからこそ、その選択の仕方にその人の知性と教養、考え方が現れます。初対面の相手にしてみれば、あなたを判断する最も分かりやすい部分であり、を返せば、あなたにとっての意思表示のできるビジネス・ツールともいえます

イヤリングの役割は、相手の視線を逃がすこと

女性がビジネスシーンでジュエリーを身につけるのは、耳元首元、そして手元の3箇所。そのうちと首元は人のためにつける場所。手元は相手のためだけでなく自分のためジュエリーを選んで良い場所す。

耳元と首元が人のためである理由は、それを目にするのがあなたと対面する相手だからです鏡をのぞかないかぎり、つけている本人にはジュエリーがどのように見えているのかが分かりません。

中でもイヤリングは、ビジネス上男性との接点が多く「大人」と言われる年齢になった方賢く取り入れることによって、ビジネスをサポートする有能なツールとなるアイテムです。その理由は相手の視線をイヤリングに逃がせてあげることでコミュニケーションを円滑にすることができるから。

特に相手が男性で、近距離で向き合って話すミーティングや会議場面では、仕事上の関係だとしても、相手はあなたの目をじっと見て話し続けること居心地悪く感じるものです。また、目を見続けるのは相互に圧迫感があり威嚇的になりますし、お互い緊張が続くでしょう。また、つねに相手と目を合わせるよりも、ときどき自然に視線を外すほうが印象も和らぐので、コミュニケーションも取りやすくなります。

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「緊張してずっと顔を見ていられないのであれば、面接官のネクタイの結び目に目線を外しなさい」と中学受験の時に教えられたはるか彼方の記憶がよみがえりますが、これは非常に正しいアドバイスだったと大人になった今つくづく思います。

このように、私たち女性は、顔(目)から、ときどき男性のネクタイあたりに目線を移すことができますが、相手の男性の場合はどうでしょう? ネクタイの結び目と同じあたりとしたらネックレス? しかし女性のネックレスのある辺りに視線を集め、男性と違ってそこは肌見えている場所になってしまいますそれに首元やデコルテはセクシャルな意味を持たせてしまうおそれもあります

そこで、有効なのが「イヤリング」です。目と口の間の水平線上にある耳元につけたイヤリングに相手の視線を誘導し「逃げ場」を作っておいてあげるのも、女性ビジネス・プロフェッショナルとして相手に対する余裕ある配慮になりますね。

ふさわしいイヤリング選びが、確固たる自信につながる

ではその仕事に効く「ビジネス・イヤリング」の基準をお教えしましょう。

サイズの目安を一言で言うと「瞳の大きさ」が最大。スタッズやクリップの場合、耳たぶに収まるサイズ。フープやドロップは耳たぶ下1センチ以内に収まるもので、揺れない(もしくは揺れが小さい)タイプを選びます

耳たぶに収まらないほどボリュームの大きいものや、デコラティブすぎるものは、イヤリングの方がおしゃべりになります。また揺れるタイプは、その動きが落ち着きのない印象を与え、会話する相手の注意力を散漫にさせることあります。また、「揺れる」という動きは、ビジネスシーンには過度な女っぽさが出てしまいますので要注意。

ボリュームの大きなタイプや、円周の大きいフープ、そしてシャンデリア・タイプのイヤリングは、夜のレセプションに日中と同じ装いのまま出席する時など、違う目的とシーンへと瞬時にスイッチさせる必要がある時こそ生きます

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そして、デザインはあくまでシンプルでエレガント、落ち着きを感じさせる“本物”を選びましょう。どうも可愛らしいディテールのジュエリーを選ぶ方が少なくありませんが、甘可愛らしいアイテムをつけることで、それがあなたの意思表示と思われてしまったら、そのイヤリングは仕事場面であなたのパートナーとはえません。ビジネス・イヤリングは、あなたの意志表示を妨げることなく、それを引き立てる位のものであってほしいですよね。

それには、両耳につけることで顔立ちや肌が美しく見え、顔の両側から明かりを当てるライトのような役割を果たすものが理想的。そのためには、大人年齢になったあなたの肌を一瞬にして自然に輝かせる地の色が金色なのか銀色なのかをしっかり見極めること。それがビジネス・イヤリングに自分専用女優ライト効果を持たせる重要ポイントです。

これらの条件を叶えるビジネス・イヤリングは、数をたくさん持つ必要はありません。少しデザインやディテールの違う物がいくつかあれば、あなたのビジネス上のどの場面に必要な装いにも、必ず合うからです。

そして特徴的でないからこそ、その物だけが人の記憶に残ことはなく、相手への配慮を持てる人物であるという印象を与えるツールであり、あなた自身を耳元から照らす光になってくれるでしょう。それは必ずやあなたに対する評価仕事のパフォーマンスをさらに上げ、あなたの自信につながるのです。

時には自分の覚悟を示すのもアリ

「このイヤリングをつけているといいことがある」というようなジンクスは、もともと自分が行っていた行動が他者に評価され、偶然かのように積み重なってきた成功体験によるもの。だったらそのジンクスは、戦略的に自分で作るのです

かくいう私は、耳元には人並みならぬ思い入れがあります。実際にビジネス・イヤリングとして使用している定番は、スタッズで銀色の地金ピアス。ロングヘアということもあり、ほとんど見えないだろうと思いきや、ピアスをつけて撮った写真と、つけないで撮った写真では、顔まわりの明るさに驚くほどの差が出ます。まさにライティングが違うわけです。人の評価も自分のモチベーションも大きく変わることを実感します。

そして「耳元は人のため」と冒頭で説明しましたが、耳元には、いざという時に相手に示す自分の覚悟(意思表示)という要素があっても良いのではないかと思っています。もちろん相手を不快にさせないことが大前提ですが。

そんな私の覚悟意思表示の証のようなものが、両耳たぶについているピアスより上方耳の縁に沿って流星のように連なる極々小さなスタッズ・ピアスたち。そう、私の右耳には2つ、左耳には5つ、合計7つのピアスが常についています。これはNY留学中に開けたもので、今の仕事にたどり着こうと真剣だった私の覚悟の証です。「初心忘るべからず」そして「既存の概念にとらわれない自由とそれに伴う責任」という未来の自分に向けたメッセージだったと言っても良いでしょう。

本来耳にたくさんピアスをつけるなど、ビジネスシーンでは良しとされないことです。特に私の職業上、ありえないことでしょう。それでもやるからには極小タイプのピアスを選び、髪を下ろして存在がわからないようにし、相手を驚かせない(迷惑をかけない)だけの責任は果たせていると思っています。

ビジネスルールが持つ本来の意味を理解できていればこそ、関わる方々に失礼がなきよう、自分の意思を持ち続けることができるのです。そして、忙しい出がけでも7つのピアスを一つひとつ装着するたびに、そのピアスホールを開けた頃のことを思い出し、常に身が引き締まるのであれば、手間もふた手間も苦にならないというもの。私にとって、これもビジネス・イヤリングとしての大きな効果だと確信しています。

キャリアを築いた女性の先人であり、私がとてもお世話になっている方は「社会で生きる女の道は獣道」、アメリカの女優でコメディエンヌのリリー・トムリンは、The Road to success is always in under construction.(成功への道は、常に工事中だ)」と言っています。そして、アイリス・アフェルは「Jewelry is the most transformative thing you can wear.(ジュエリーは、身につけられる最も変身力のある物だ)」と言いました。

なき道を歩む女性ビジネス・プロフェッショナルにこそ、エレガントで強力なあなたのパートナーとなるビジネス・イヤリングを見つけて、信念を貫ける自分であり続けてほしい。そう切に願っています。

日野 江都子  Niena Etsuko Hino
日野 江都子
Niena Etsuko Hino
国際イメージコンサルタント /株式会社リアル コスモポリタン CEO
東京生まれ ニューヨーク在住


武蔵野美術短期大学在学中、コロンビア大学(米国・NY)へ留学。武蔵野美術大学卒業後、パーソンズ美術大学(米国・NY)に留学、「ファッション&イメージコンサルティング」コース修了、ディプロマを取得。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークで株式会社リアル コスモポリタンを設立。

ニューヨークと東京を拠点とし、国際的に活躍するトップエグゼクティブ・ビジネスプロフェッショナルを対象に、国際イメージコンサルタントの第一人者として20余年にわたり活動。NY在住の最新かつ生のグローバル感覚と俯瞰的なビジネス知識を持ち、日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)を対象に、企業ブランドとトップのパーソナルイメージを含めた、包括的なブランディングと施策提案など総合的なコンサルティングを手がけている。

近年は男性トップに加え、女性トップエグゼクティブ(経営者・執行役員・上級管理職)対象のプレゼンス向上コンサルティングや講演・研修、執筆に力を入れており、銀座 英國屋との提携による、女性エグゼクティブ向けスーツ監修のほか商品開発監修、国際基準のビジネス・スタイルや国際的なビジネス・ルールの提起、アドバイザリー、海外進出を目指す企業・個人に対し、グローバルマーケットでのブランディングやビジネス・コンサルティングまでプロフェッショナルチームを組み、総合的に行っている。

AICI(国際イメージコンサルタント協会)ニューヨーク支部元ボードメンバー。スティービーアワード審査員。

■主な著書・執筆

『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、
『Premium Image management for Men』DVD監修(SONY PCL)、
『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) 等

■連載
『Business Rule Book』(小学館「Precious」2016年10月号別冊より「precious.jp」連載中)
https://precious.jp/category/business-rule/
『ニーナ 江都子 日野の戦略的プレゼンス』(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/052600138/

その他、メディアへの執筆多数


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