そのシャンプーはどこから来たの? AVEDAの持続可能な経済活動が私たちにもたらすもの

くせ毛や髪質に悩んでいる人にとって、AVEDAの製品は魅力的です。筆者も子どもの頃からくせ毛に悩まされていましたが、10年ほど前にAVEDAの「ダメージレメディーシリーズ」のシャンプー&コンディショナーを使用したところ、うねる髪の毛はゆるやかなウェーブを描くようになりました。それは、長年のコンプレックスが個性に変わった瞬間でした。

AVEDAの魅力は製品の品質だけではありません。同社は創業時から環境問題や先住民族が抱える経済的な課題の解決や文化の保存を、企業活動のエコシステムと連環させることで持続的にサポートしてきました。具体的には製品の原材料となる薬草や木の実などを生産するコミュニティとパートナーシップを構築するという形をとっています。例えば、次のようなエピソードがあります。

AVEDA

モロッコ南東部の乾燥地帯に自生するアルガンは、保湿効果を持つアルガンオイルの原材料です。そして現地に在住する先住民であるベルベル人の女性たちは、何百年もの間、アルガンを薬や食材、美容などに利用してきました。しかし、20世紀以降は砂漠化の進行により、アルガンの森の面積は140万ヘクタールから80万ヘクタールに減少。森林密度もヘクタールあたり100本から30本へと落ち込んでしまいます。

この課題へのアプローチは、アルガンに経済的な価値を見いだすことから始まりました。あるモロッコの大学教授は、地元の女性たちとともにターガナイン協同組合を設立し、アルガンの実の持続可能な加工や取引を実現する取り組みを開始しました。初期は少数の女性たちからスタートした協同組合でしたが、世界市場に向けてアルガン製品を加工するようになった現在は、6つの協同組合で構成されるネットワークに成長しています。

地域の生態系の保全が経済的に正当であることが証明された後、ターガナイン協同組合はモロッコ水・森林省とパートナーシップを組み、アルガンの森を数百ヘクタール再生することに成功しました。

AVEDAは自社で使用するアルガンオイルの100%をターガナイン協同組合ネットワークから調達し、作業を効率化させるための加工装置の導入を資金で援助しています。また、この取り組みの意義は、自然環境の保全とともに、先住民であるベルベル人の生活を経済的に支えること、経済的な自立を促すことで現地の女性の地位を向上させることでもありました。ターガナイン協同組合はAVEDAの資金援助による識字プログラムへの参加を義務づけることで、現地の女性の教育水準を向上させようとしています。

AVEDA

この他にも先進国の企業が土地の権利を主張したため、先祖代々の生活圏を追われつつあったブラジルの先住民が、彼らの間に伝わってきた伝統的な労働歌を歌いながら森林伐採に抵抗するエピソードもありました。ここではAVEDAが彼らの薬草の知識を薬草の生育圏である森とともに保全し、経済的に支援するだけではなく、彼らの民族的なアイデンティティを書籍やビデオを通して広く伝えることを支援しました。

AVEDAの企業としての持続可能な取り組みの紹介は、消費者である私たちにその製品を選ぶことの正当性を担保するだけではなく、ストーリーを通して、世界中にある多様な文化や人々の歴史、人間の持つ強さを伝えてくれます。

多くの消費者にとってAVEDAのシャンプーを使う目的は、美容や快適さが第一にあることに違いはありません。しかし、もうひとつの明確な理由があるのではないでしょうか。それは、消費者としてAVEDAの取り組みに投資あるいは投票すること。YESというメッセージを送り続けることです。AVEDAの製品を買うことは、遠い国の先住民の女性や環境問題に取り組む人々を応援することで、社会とのつながりを感じられるという快感ももたらします。

また、すべての製品のパッケージは100%再生PETを使用。さらに製造に必要な電力の100%を風力発電でまかなっています。このような徹底した取り組みと、それを適切に伝える企業ブランディングがもたらす影響は、継続的にAVEDAの製品を使い続けるファンを増やすことに留まりません。なぜなら、消費者としてその企業に投票するという習慣がついたことで、日頃から物を見る目線が変わるからです。たとえば買い物をする際にどれを買うか迷った時には、それがどのような経緯で来たかを調べ、できるだけ消費者としてそれに関与することが気持ち良いと感じられる方を選ぶようになるなど、ブランドのフォロワーたちが自分自身の中にゆるやかなガイドラインを持つことができるのです。

Source: AVEDA
Editor: MIREI TAKAHASHI