「人はみな、自分がもっと輝ける場所を探している」株式会社morich代表取締役 森本千賀子:FUMIKODA WOMANインタビューvol.11

FUMIKODA WOMAN

「FUMIKODA WOMANインタビュー」では、さまざまな仕事の現場で活躍する女性たちへのインタビューを通し、仕事への取り組み方から、ファッションの選び方といったライフスタイルまでお伺いします。今回は、転職支援をはじめ「人」に関わる課題解決を幅広く手がける株式会社morichの代表取締役 森本千賀子さんに、お話をうかがいました。聞き手はFUMIKODAクリエイティブディレクター、幸田フミです。

手にした一冊の本から、
人材紹介業に大きな可能性を感じて飛び込む

幸田フミ(以下、幸田):チカさんは人材紹介業の営業としてキャリアをスタートさせていますが、その当時、業界はまだ小規模だったのではないでしょうか。何かきっかけがあって選んだお仕事だったのですか。

森本千賀子(以下、森本): 今では約26,000社、さらに年間約2,000社近くの企業が新規参入する巨大市場ですが、30年前の当時はまだ100社にも満たない業界でした。きっかけとなったのは、大学3年の時に図書館でたまたま手に取った本。そこには、「アメリカでは、転職を繰り返しながらキャリアや報酬を高めていくのが一般的で、転職を支援する業界も生まれている」と書かれていました。日本はまだ終身雇用、年功序列が当たり前の時代でしたが、「日本も絶対にこういう日が来る!」と直感しました。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

理由はもう一つあって。私の父は脱サラして起業していたのですが、ヒト・モノ・カネの中でも常にヒトに苦労していたんです。その姿をずっと見ていたので、大好きな父への恩返しになるのではないかという思いが湧いてきて、最終的には人材紹介業にターゲットを置いて就職活動しました。

幸田:それで選んだのがリクルートの子会社。希望通りの就職先だったのですね。

森本:誰も知らないような、当時は社員が100人程度の小さな会社でしたが、ここだと思いました。実は親会社のほうの内定ももらっていたんですけどね。

幸田:それは周囲も驚いたでしょうね!でもチカさんの読み通り、業界はその後、一気に拡大しましたね。その後リクルート時代には結婚、2度の出産と、プライベートでも大きな環境の変化がありながら、数々の偉業を成し遂げていらっしゃいますね。

森本:表彰もたくさんされましたが、一番嬉しかったのは個人の業績ではなく、私が率いるグループでMVPならぬ「MVG(Most Valuable Group)」をもらったことです。若くて実績も経験も少ないメンバーで構成された組織でした。そんな彼らとともに向き合い周囲の期待を超える成果を出し、それが評価されたときは、もう涙が止まりませんでした。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

幸田:いったいどうやって、モチベーションを上げながら意欲と活気を引き出したのでしょう?

森本:私は哲学が好きなんですけど、哲学者の中村天風氏が言うには、人には生まれ持った潜勢力(せんせいりょく)というものが標準装備されていると。人間とは、進化と向上を尊ぶ生き物でよりよく生きたい、より成長したいというマインドセットがある。ところがその力は使わないとさび付いてしまう。

一人ひとりに向き合い、これまでの人生を話してもらうんです。何時間もかけてじっくり話を聞くと、彼らが輝いていたときの様子が見えてくる。それをヒントに、彼らが輝ける環境を一緒に考え、彼らの潜勢力を引き出すんです。そうすると本当に、目の色が変わってくるんですよ。

幸田:そのときのチカさんの喜び、よくわかります。ただ結果を出したということじゃなくて、人の人生の役に立ったことが嬉しかったんですね。

 

「第三の家族」の助けを借りて仕事に邁進、
二足のわらじを経て起業

幸田:家庭と仕事を両立させるために、どのようなことにご苦労されましたか。

森本:長男出産の前後はマネジメント職に転じ、夫の協力も得られて、うまく両立できていました。一番つらかったのは、第2子となる次男の出産の頃ですね。長男が3歳のとき、サンタさんへの願い事に「弟がほしい」と書かれていたんです。いつもさみしい思いをさせているし、その願いを叶えたくて。でも簡単ではなくて、不妊治療もし、2度の流産を経験し、ようやく授かった待望の2人目でした。

ところが復職のタイミングをうかがっていた矢先に、夫の異動が決まって平日はほぼ地方、出張族となり夫不在での育児体制を余儀なくされました。そのとき長男は小1。両親は遠方なので頼ることができないし、突然のワンオペ育児確定に愕然としました。マネジメントの仕事に戻るのは難しいと直感しました。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

幸田:リクルートを辞めることも考えたのですか?

森本:それはありませんでした。リクルートが大好きでしたし、会社の配慮もあって、コンサルタント職として復帰することで落ち着きました。でも自己完結型の自分のペースで働ける環境にいたら、次第に時間を持て余すように。それで個人事業主として2012年から会社の仕事とは別に、セミナー登壇、スタートアップ支援、社外役員などの副業での活動を開始しました。株式会社morichもリクルート在籍時に創業しました。設立日は「3月3日」、次男の誕生日です。次男が生まれてきてくれたおかげで、仕事も人生もパラダイムシフトした私にとっての特別な日を設立日にしました。

幸田:二人のお子さんを育てながら、二足のわらじを履いていらしたんですね。

森本:実は第三の家族とでもいうべき女性(シッター)の存在がありました。子育ては彼女に頼りっぱなしでした(笑)家事育児がなんでもお得意な方で、私の人生に共感し応援団となっていただきました。副業を開始した頃からお世話になり、それ以来、「私にしかできないこと」「自分がどうしてもやりたいこと」に自分の時間をフォーカスし、それ以外は、すべて彼女におまかせしてきました。

おかげで仕事に邁進するうち、副業だったはずの仕事がどんどん楽しくなり、最初は9:1だったのが、8:2になり・・・いつしか逆転するようになって。2017年にリクルートを卒業し、株式会社morichとして独立しました。

幸田:独立されるまでにそういった経緯があったのですね。本当にパワフルでアクティブに活動されていますが、チカさんのその原動力はどこからきているのでしょう?

森本:幼い頃から、困っている人をほっとけない性分なんです。それが「利他」っていうことなんだと、大人になってからわかったんですけど。会社を立ち上げるときに、ミッションを表現するメッセージを考えて、出てきたのが「困ったときのモリチ」と「オールラウンダーエージェント」。転職だけじゃなく、どんな困りごとにも手を差し伸べたいという意味を込めて、どちらも名刺にも記載しています。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

幸田:内面から溢れ出る原動力なんですね。どうりで、チカさんには波動があるんですよ。一緒にいるだけでエネルギーをもらえる感じがします。チカさんと仲良くされているユッキー(株式会社ベアーズの高橋ゆきさん)もそうなんです。

森本:わかります!フミさんもですよ!それって気のせいじゃないんですよ。前向きオーラが出ている人のそばにいると、自分もハッピーでポジティブになれるんです。脳科学的にも量子物理学的にも実証されていたりします。

子供の頃、よく祖母に言われたんです。「負のオーラは周りのみんなに伝播しちゃうんだよ。落ち込んでいるだけで、人様に迷惑をかけているんだよ」って。だから私は辛いことがあっても、ネガティブな波動を外にまき散らさないよう、そのエネルギーを信頼回復のために使ったり、「この試練は、神様からのどんなメッセージなんだろう」と意味を考えたりしています。

突然降りかかった厳しい試練も
ポジティブ思考で大きな糧に

幸田:チカさんは、辛いことなんか全くなさそうに常に明るく元気に振る舞っていらっしゃいますが、背景にはそういう心の持ちようがあるのですね。実際は辛い思いもたくさんされてきたのでしょうか。

森本:人生で一番くやしくて辛かったのは、二度目の流産です。最初の流産のあと、自分の中では「もういいか」という思いがあったんですよ。これは神様からの啓示なんだ、だったら思い切り仕事をしようと、気持ちを切り替えました。するとまもなく上司から、「今度大きい部署を任せるから」と内示を受けて。もちろん二つ返事で承諾しました。ところがその3日後くらいに、妊娠が発覚したんです。

当時の私にとってはかなりチャレンジングな、間違いなく大きなチャンスでしたが、「弟がほしい」という長男の願いにも応えたかった。ところがその内示を受けた直後の妊娠。悩みに悩み、その内示を断りました。中途半端には受けられないと。ところが、なんとその数週間後に2度目の流産。妊娠に向き合おうと心を決めた後での流産にはさすがに参りました。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

幸田:どうしてそんなタイミングでそんな辛いことが・・・。

森本:もう、全てを失った感覚でした。その直前、かなりハードに仕事をしてしまったこともあって激しく後悔し、1週間会社を休んで家に引きこもりました。そんなことは初めてことでした。すると私から負の波動が出ていたのか、姉のように慕っている家事代行サービスのベアーズ社副社長の高橋ゆきさんことユッキーから電話がかかってきて。普段、よほどの用事でなければ電話をもらったりすることはないのに。

事情を話すと、彼女は滞在中の京都から、「大丈夫、絶対にチャンスはもう一度あるから」と私を励ますためだけに飛んできてくれたんですよ。嬉しかったですね。気持ちを入れ替え、仕事にまい進しました。もちろん内示当初のミッションではなかったのですが、それでも、自分に課せられた役割を精いっぱい最善を作りました。そうしたら、なんとその半年後にもう一度妊娠して、生まれてきてくれたのが次男です。

幸田:ユッキーのあふれる愛、素晴らしいですね!けどもし内示を受けて仕事を優先していたら・・・。

森本:そうなんです。違う選択をしていたら次男には会えなかったし、結局その後、仕事でも再び大きなチャンスを得ることができたんですよ。やっぱりどんなことにも意味があるんだと確信しました。

幸田:壮絶な体験ですが、絶対にこれで終わりじゃないと。すべての経験が糧になっているんですね。

森本:他にも、へこむことはたくさんありますよ。一番大変だったのは、実家の家業の経営危機で多額の借金を背負ったことです。実家も失いました。でもすでに結婚して住宅ローンもあり、銀行にもお金を貸してもらえなくて。

そこで手を差し伸べてくれたのが、人生の師です。個人的にお金を貸してくださったんです。そのとき担保に約束したのが、当時リクルートの持株会で持っていた株です。借金はとてもひとりで返しきれる額ではなく、返せる方法はリクルートの上場以外にありませんでしたから、それまで会社を辞めるわけにはいきませんでした。

幸田:過去にもそんなにお辛い経験をされていたのですね。でも2014年にリクルートが上場して。

森本:全額返せただけでなく、お釣りも来ました(笑)。そのときつくづく、ああ、お金って、天下の周りものだなと気づきました。だから、お金のために仕事をするっていうのはナンセンスだと思っていて。がんばって人生に向き合っていたら、絶対に神様は見捨てたりしないんですよ。 

人は変われる。転職を考える人には、
自分が輝ける場所を追い求めている

幸田:常に前向きに人生を歩まれてきたチカさんですが、仕事やプライベートで潮目が大きく変わるときには、どんなことに気をつけていますか。

森本:一番は、二人の息子たちのことを最優先に考えることです。それと、先のことを考えるより、目の前のことに最善を尽くすことです。正直いってこのご時世で、1年後どうなっているかなんてわからないと思っていて。この4月から静岡で生活しています。次男の中学の関係もあり、コロナ禍でワークスタイルもリモートワーク中心に。であれば、東京との二拠点生活もありだなと思い生活拠点を静岡に移しました。これもコロナがなければ想像もしなかった人生です。ですから先のことを考えて憂いるのはやめようと。

ただ大事にしているのは、どの山を登るか、頂上はどこか。それさえわかっていれば、どの道を通るかは綿密に計画しなくてもたどり着くはずです。なぜ道に迷うかといえば、たいていは「目指すゴールがわからない」「今いる場所がわからないか」のどちらかです。だとしたら、その2つさえ認識できていれば、迷わなくてすむでしょう? 

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

幸田:目指す場所がまだまだあるんですか?

森本:ひとりでも多くの人の、自分が輝ける場所を見つけるお手伝いをしたいと思っています。自分のそれまでの経験、経験から培われた能力スキル、自分が本当にやりたいと思うこと。この3つが交わる交差点を見つけられた時、人はキラキラ輝けると確信しています。

今の環境に満足できず、もっと自分らしく輝ける“別のどこか”を求めて私のところに相談に来られます。ご本人も気づいていないご自身の“交差点”を一緒に見つける工程に、私はいつもワクワクし、これこそが私のミッションだと思っています。

幸田:これまでにもたくさんの方の人生を聞いてこられたんですよね。

森本:転職をコーディネートした方は2,000人超。お会いした方は30,000人超になります。それをライフワークにできたのは、私にとって本当にラッキーなこと。転職を希望されるビジネスパーソンに限らず、アスリートやアーティスト、そして子どもたちのキャリアや未来に寄り添っていきたいですね。

キャリア学って案外学ぶ機会がないので、大学3年生になって、さあ就職活動だといわれて慌てて“就職”というものを意識する。世の中にはどんな仕事が存在するのか?自分にとって何が適職なのか?何から始めたらいいのかわからないですよね。そもそもどんな選択肢があるのか、子どものうちから知っておくことは大事。それを伝えていくことも私のひとつのミッションだと思っています。全国の小中高そして大学を回りキャリアついて伝搬していきたいんですよ。寅さんみたいに全国行脚したい(笑)あなた達の将来にはこれだけの選択肢があるよ、可能性はたくさんあるよ、と教えてあげたいんです。

FUMIKODAのバッグで
母親モードから戦闘モードへスイッチング

幸田:チカさんの、人を幸せにしたい、困っている人の課題を解決したいという気持ち、とてもよくわかります。FUMIKODAのバッグも、持つことによって仕事を頑張れたり自分に自信を持てたりするような、持つ人の心強い相棒のような存在であってほしいと願って作っています。ただカッコいいバッグを作りたいとかじゃないんです。

森本:FUMIKODAのバッグ、持っているだけで本当にテンションが上がります!タッセルひとつでより一層上がる(笑)家庭では母親モードなので、外に出たときに頭と気持ちを切り替える必要があるんですけど、FUMIKODAのバッグのおかげですぐに、よし行くぞ!戦闘開始!みたいな感じでスイッチが入ります。

幸田:バッグに込めた想いがしっかり伝わっていて感激です。

森本:軽くて機能的で、UI/UXが素晴らしいですよね。使う人の気持ちや想いを十分に考えぬいて作られていることがよくわかります。フミさんの人生や魂が、作品にフィードバックされているんだなと思います。特別な日にしか持たないようなバッグじゃないんです。もちろんパーティなどでも映えるデザインなんですが、日常使いにふさわしいじゃないですか。いつもそばにいて応援してくれる、私のパートナーです。これからもターニングポイントで買い揃えていきたいです。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子|FUMIKODA WOMAN インタビュー

 

森本千賀子さんプロフィール

獨協大学外国語学部英語学科卒業。リクルート人材センター(現・リクルート)入社。転職エージェントとして人材戦略コンサルティング、採用支援サポートを手がけ経営者のよきパートナーとして伴走。リクルート在籍時に、副業・兼業しながら2017年株式会社morich設立、同年9月リクルートを卒業、独立。
現在もCxO層の採用支援を中心に、企業の課題解決に向けたソリューションを幅広く提案。HRソリューションに限定せず外部パートナー企業とのアライアンス推進など、活動領域も広げている。その他NPO理事や社外取締役、顧問など10数枚の名刺を持ちながらパラレルキャリアを体現。
2012年には、カリスマ転職エージェントとしてNHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。『成功する転職』『無敵の転職』など著書多数、日経電子版の連載など各種メディアにも執筆。2男の母の顔も持つ。

 


  • 2021.07.30

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