素材選びは、思想の表明。技術者と生み出す新しい価値:FUMITALK

こんにちは、FUMIKODAクリエイティブディレクターの幸田フミです。

今回、少し意外な場所からお声がけをいただきました。
化学や材料工学の専門家が愛読する技術解説書『環境配慮型材料Vol.14』(株式会社アンドテック発行)への寄稿です。

デザイナーが技術書に執筆するのは珍しいことかもしれませんが、私にとっては自然で、かつ背筋が伸びる思いのする仕事でした。

実は、私の原点は「応用化学」にあります。高専時代、実験室で白衣を着て物質の性質と向き合っていた日々。あの頃培ったものの成り立ちを探求する経験が、今のFUMIKODAのものづくりの根幹に繋がっています。

「美しさ」の裏側にある、技術者の執念

今回の寄稿で中心に据えたのは、一般社団法人Alliance for the Blue(AFB)と共に取り組んできた、海洋プラスチックごみのアップサイクルについてです。

特に思い入れが深いのが、ボックストートバッグ「MARINA」に採用した「オーシャンVレザー」の開発です。 海に浮かぶ「ブイ(浮き)」は、かさばる上にリサイクルが極めて難しい素材。しかし、日本の技術者の方々は諦めませんでした。
廃棄ブイを25%含有しながら、しなやかで、手になじむ上質な質感を実現する。そのプロセスは、まさに執念と感性の結晶でした。

また、ハンドバッグ「MEGAN」に使用している、廃棄漁網を再生したリサイクルナイロンも同様です。ただ「ゴミを再利用した」というストーリーに甘んじるのではなく、ビジネスシーンに耐えうる「軽さ」と「強靭さ」を両立させる。そこには、日本の素材メーカーが世界に誇る高い技術力が詰まっています。

妥協ではない「新しい選択」を

私がクリエイティブディレクターとして感じている使命は、これら世界最高峰の技術を、皆さまが「毎日使いたくなる、美しく機能的なプロダクト」へと昇華させることです。

「環境のために、何かを我慢する」 そんな時代はもう終わりにしたい。素材を選ぶことは、自分がどんな未来を望むかという「思想の表明」でもあります。

リサイクル素材であっても、機能的で長く愛せる。そんな「新しいスタンダード」を、これからも現場の技術者の皆さまと共に、一つひとつ編み出していければと願っています。