内藤忍のキャリア女性が人生100年時代を生き抜くための資産運用講座(前編)

FUMIKODAジャーナルの読者の皆様、はじめまして。資産デザイン研究所の内藤忍と申します。私は30年以上資産運用業界で仕事をし、自らも自分の資産を活用して投資を行っています。

今回は友人である幸田フミさんとのご縁で、本コラム執筆の機会をいただきました。投資初心者・未経験者の女性の皆様が、どのように資産を増やし守っていけば良いかをできるだけわかりやすく書いてみたいと思います。

あなたはどのタイプ? 自分に合った資産運用を見極めよう

まず、知っていただきたいのは、資産運用の方法は人によって千差万別だということです。だから、まずは自分がどのタイプになるのかを知ることが重要です。

そこで、投資の目的や現在の資産やお仕事の状況によって、資産運用の方法を大きく4つのタイプに分類してみました。まず、ご自身がどの方向に入るのかをチェックしていただき、それに見合った方法で実践するのが良いと思います。

4つの中でどのタイプになるかを決めるポイントは2つあります。ひとつは、リスクに対して積極的か、それとも慎重にいきたいのか。そしてもうひとつのポイントは、「お金を借りる力」があるかどうかです。順番に説明していきましょう。

まず、リスクに対する考え方です。これは、リスクを積極的に取りたいか、慎重かという違いです。リスクとは投資からどのような結果を得たいかです。図1のように投資は、リスクとリターンに相関関係があります。単純化すればハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという関係です。

FUMIKODA リスクとリターンの関係

『初めての人のための資産運用ガイド』(内藤忍 著)から抜粋

高いリターンで資産を短期間に増やしたいと思えば、リスクを大きく取らなければなりません。その場合は失敗すると大きな損失になります。逆に、リターンをそれほど求めないなら、リスクも小さいですから失敗しても損失は限定されます。実際には2択ではなく、無数の投資の方法がありますが、資産を増やすにはリスクを取らなければならないことは覚えておきましょう。

投資には必ずリスクがあります。絶対に儲かる投資はありません。リスクの低い方法といっても、元本が保証されているわけではありません。ある程度リスクが取れる方は、それに見合った投資商品をご紹介いたします。

次に、2つ目のお金を借りる力があるかどうかについて説明しましょう。リスクに対する考え方と並んで知っておくべきことは、自分にお金を借りる力がどの程度あるかです。お金を借りる力は、資産額と年収によって決まってきます。お金を借りる力があれば、ローンを組んで不動産投資を始めることが可能になります。

一般的には年収が400万円程度あれば、投資用不動産を融資を使って購入可能です。頭金は最低10万円程度からでも可能ですので、大切なのは資産金額よりも安定した収入ということになります。

逆に年収が低い人は、自己資金を用意しないとお金を借りる力が出てこないことになります。その場合は、借入ではなく自己資金で資産運用する方法を考えていくことになります。

このようにリスクを取る・取らない、お金を借りる力がある・ないという2つの条件から、図2のように、投資のスタイルを4つに分けて考えることができます。

FUMIKODA 4つの投資スタイル

【パターン1】お金を借りる力を使わないで、リスクもあまり取りたくない

【パターン2】お金を借りる力を使わないで、ある程度リスクを取りたい方

【パターン3】お金を借りる力を使って、リスクを取りたくない方

【パターン4】お金を借りる力を使って、ある程度リスクを取りたい方

という4つになります。それぞれのタイプ別に、どんな投資が向いているか順番に説明していきましょう。

借入なしで低リスクなら、投資信託

まず、【パターン1】の方の投資方法です。お金を借りる力を使わないということなら、保有している現金での投資ということになります。しかも、リスクをあまり大きくしたくないということであれば、投資信託を使った積み立てが良いと思います。

投資信託をなぜ使うのかといえば、いくつかの理由があります。ネット証券を使えば、毎月の自動積み立てが活用できること。また投資金額が最低100円からと小額で始められること。さらに、株式から債券や不動産まで投資対象が幅広いことなど、たくさんのメリットがあります。

ポイントは対面型の証券会社や銀行で購入するのではなく、ネット証券を使うことです。その理由はコストです。投資信託の売買や保有にかかるコストは、ネット証券の投資信託が最安値になっているからです。

またインデックスファンド呼ばれる市場の平均値に連動した運用方法の商品をお勧めします。これは例えば日本株式であれば日経平均、アメリカ株式ならNYダウといった指数と同じ動きを目指す商品です。

インデックスファンドはアクティブファンドと呼ばれる商品に比べ、手数料が低く、運用成果も安定する傾向があります。どのような商品が良いかはここではあまり詳しく書きませんが、興味なる方は私の下記の著書をお読みください。

投資信託はネット証券で積立投資をすることが可能です。毎月決まった日に定額を積み立てることで、平均のコストを引き下げる「ドルコスト平均法」が実現できます。

そして一旦積み立てをはじめたら、最低でも5年から10年は続けてみることです。相場の変動に関係なく長期で継続することでその効果を実感できるはずです。

今回のお話をまとめると、【パターン1】で資産を増やしたいという方は、ネット証券の口座を活用し、長期でインデックスファンドを使って、積み立てをすることが一番良いということです。投資信託は日本、先進国、新興国と投資エリアも分散することを意識しましょう。

残りの【パターン2】から【パターン4】3つの投資方法は後編で説明します。

※3月8日(木)19:00からFUMIKODAショールームで、内藤忍氏に資産運用についてご講演いただきます。ご興味のある方は下記よりお申し込みください。

【CLUB FUMIKODAイベント】
ビジネスキャリア女性のための 「人生100年時代に知っておきたい資産運用」
資産運用専門家の内藤忍氏に教わる、将来女性が豊かに過ごすために必要な投資の知識

FUMIKODA 内藤忍

内藤 忍

Shinobu Naito

1964年生まれ。東京大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院(スローン・スクール・オブ・マネジメント)修士課程卒(MBA)。大手信託銀行、外資系資産運用会社勤務を経て、1999年にマネックス証券株式会社の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長などを経て、株式会社資産デザイン研究所を設立。代表取締役社長就任。一般社団法人海外資産運用教育協会の代表理事も務める。 著作は30冊を超え、「初めての人のための資産運用ガイド」は10万部のベストセラーに。 早稲田大学、明治大学、丸の内朝大学などで、資産運用に関する講座を開講。 ワインバー「SHINOBY`S BAR 銀座」のオーナーとしての顔も持つ。