女性がもっと活躍できる社会に 品川区長 森澤恭子氏✕幸田フミ FUMIKODA SALONレポート
春の柔らかな光が差し込む午後、FUMIKODAに品川区長の森澤恭子さんをお迎えしてSALONを開催しました。
主催は株式会社WOMAN COLLEGE 代表取締役の黒田佳奈子さん。FUMIKODAのクリエイティブディレクター 幸田フミのほか、先日開催された「品川区産学官連携フォーラム」に登壇されたメンバーや、品川区に縁のある以下の方々が出席されました。
- 及川美紀さん(一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 理事)
- 山田奈央子さん(日本フェムテック協会 代表理事)
- 小倉祥子さん(株式会社 銀座テーラーグループ 代表取締役社長)
- 藤井あい子さん(武蔵小山創業支援センター センター長)
- 羽生祥子さん(羽生プロ株式会社 代表取締役社長)
子育てと仕事を両立しながら、女性リーダーとして日々奮闘されている森澤さんのお話を通じて、ご自身が感じていらっしゃる社会課題についてうかがいました。参加者それぞれが「自分にできること」を考え、意見を交わす貴重なディスカッションの機会となりました。
品川区長・森澤恭子さんのご紹介
森澤恭子さんは神奈川県出身。品川区での子育て経験を通じて、地域や教育、働く女性の課題に深く向き合ってこられました。 民間企業や東京都議会議員としての活動を経て、2022年に品川区長に初当選。現在は「誰もが生きがいを感じ自分らしく暮らしていけるしながわ」を目指して、区政をリードしています。
政治家を目指したきっかけについては、「もっと子育てしやすく、女性も働きやすい社会にしたい。そのためには、意思決定の場に女性がいる必要があると感じた」と語ってくださいました。
SALONで交わされた主なトークテーマ
政治を動かす女性リーダーの不足
サロンでは「女性リーダーの不足」が大きなテーマとなりました。 現在、日本全国にある地方自治体の数は1,785。そのうち、女性首長は約70名、割合にしてわずか3.9%。 東京都内の23区でも、女性区長は7人にとどまっています。
この現状に、参加者からは驚きの声が上がりました。森澤さんは、政策を決める場に女性の視点が加わらないと生活の実情に合った対応が難しくなるため、もっと多様な立場の人が意思決定に関わる必要があると訴えました。
女性リーダーが増えることで、社会はどう変わる?
もし政治や企業のリーダーに、もっと多くの女性がいたら、どんな変化が生まれるのでしょうか?森澤さんは、「育児や介護、教育など生活に身近な課題をはじめ、ジェンダー平等や性の多様性への対応、選択的夫婦別姓などに対しても、よりきめ細やかな視点での政策づくりが期待できる」とおっしゃっていました。
女性の視点が加わることで、社会全体がよりバランスよく、誰もが安心して暮らせる方向に進んでいけるのではないでしょうか。
女性がリーダーになりにくい理由とは?
日本では、政治や企業のトップに女性が少ない現状があります。 その理由には、育児や家事の負担が女性に偏っていることや、リーダーになるための情報やネットワークが男性に偏っていることが挙げられます。
また「自分には無理かも」と感じてしまう女性も少なくありません。森澤さんも出馬に際しては「出産後の社会復帰に女性活躍の難しさを感じた。誰かがやらなければ何も変わらないという気持ちが、背中を押してくれた」と話してくれました。
私たち市民ができることは?
では、こうした状況を変えるために、市民として何ができるのでしょうか? まずは、女性首長の割合がわずか3.9%に留まっているという事実を知ること。その上で、多様な意見を交わし、誰もが生きやすい社会にするためには、女性リーダーの数を増やし、このアンバランスな状況を打破する必要があります。
また、身近な女性のチャレンジを応援したり、家庭や職場での“無意識の性別役割”を見直すことも、社会を変える第一歩になります。小さな行動でも、積み重ねれば大きな力になります。自分の一票や声が、未来の誰かを勇気づけるかもしれません。
FUMIKODA SALONを終えて
今回のSALONを通して、「誰かのチャレンジが、未来の当たり前を変えていく」ということを実感しました。 政治の話は難しく感じがちですが、実は私たちの暮らしに直結しています。 森澤区長の率直であたたかい言葉、そして参加者の前向きな姿勢に、多くの勇気をもらったひとときでした。
FUMIKODAはこれからも、女性たちが一歩踏み出すきっかけをつくる場を大切にしていきます。
前列左から:羽生祥子さん、森澤恭子さん、小倉祥子さん、黒田佳奈子さん
後列左から:藤井あい子さん、及川美紀さん、幸田フミ、山田奈央子さん
お知らせ
当日参加された羽生祥子さんが、始まったばかりの2025年大阪・関西万博で、Women’s Pavilion「WA by Cartier」のプロデューサーを務めていらっしゃいます。このパビリオンは、女性のエンパワーメントと多様性をテーマに、カルティエが主催する国際的な展示です。 羽生さんは、社会課題に向き合うメディアプロデューサーとしての経験を活かし、企画全体の監修を担当されています。詳細は羽生プロ公式サイトをご覧ください。