内藤忍のキャリア女性が人生100年時代を生き抜くための資産運用講座(後編)

前回は、これから投資を始めたい人のために、リスクとリターンの関係、そしてタイプ別に4つの投資方法があることを説明し、1つ目の【パターン1】お金を借りないでリスクを抑えた資産運用の方法を説明しました。

FUMIKODA 4つの投資スタイル

今回は、残りの3つのパターンについて、どのような運用方法が良いかをお話したいと思います。

FXや仮想通貨はリスクの取り過ぎに注意

まず、2つ目【パターン2】のお金を借りる力を使わないでリスクを取る方法を説明します。この場合は、1番目の投資方法で使った投資信託よりもリスクの高い金融商品を活用します。具体的には、FX(為替証拠金取引)や仮想通貨のような変動率の高い商品です。

FXとは、為替の取引を低コストで行える金融商品です。投資信託などとは異なり、レバレッジと呼ばれる、保有資産額より大きな金額でリスクを取ることができ、大きなリターンを狙うことができます。ただし、損失が大きくなると強制ロスカットといって、自動的に取引を解消され、損失だけが残る結果になってしまうので、リスクの取り過ぎに気を付けるようにしましょう。

仮想通貨とは、ビットコインに代表されるネット上に登場した新しい「通貨」です。通貨といっても国家が中央銀行発行で流通させるものではなく、ブロックチェーンという新しい技術を使って発行するもので、紙幣のような実物ではありません。

仮想通貨は2017年後半から価格が急上昇して、注目されましたが、2018年に入ると一転して急落し、その後も乱高下が続いています。

どちらも特徴としては、価格の変動が大きく短期的に収益が大きく変動することが挙げられます。1つの投資対象に資産を集中させず、資産の一部に組み入れることによって、リスクを一定の範囲に抑えることをお薦めします。

例えば、FXであれば、アメリカドルだけではなく、ユーロやオーストラリアドルといった他通貨にも分散させることで、リスクを抑えることができます。

仮想通貨であれば、ビットコイン以外にもイーサリアム、リップルといった主要通貨にも分散させておけば、集中リスクを回避できます。

【パターン1】で説明した投資信託を使った長期分散投資に、FXや仮想通貨を組み合わせることによって、借入を使わないでリスクを高める投資が実現できます。

これからは都内ワンルーム投資が有望

次にお金を借りる力を使った投資方法を説明します。これは、ズバリ国内の不動産投資を活用する方法です。

その中でも初心者・未経験者の方には都心・中古・ワンルームマンションへの投資が良いと思います。私自身も国内不動産投資は、港区の中古ワンルームから始め、1戸ずつ物件を買い足していきました。

都内のワンルームマンション投資は、入居率が高く空室になりにくいのが特徴です。私が管理を依頼している会社は23区内にある2万戸近い物件を管理していますが、全体の入居率は99%を超えています。私が保有している物件も現状、すべて満室になっています。

高い入居率を期待できるのは、供給が少ないのに需要が拡大しているからです。日本国内では人口減少がはじまって、空室の貸家が増えています。しかし、東京23区は人口の流入が年間7万人以上あり、外国人労働者も増え、単身者は拡大する一方です。東京都の推計によれば、これからも都内の単身者世帯は増え続け、ワンルームマンションのような単身者向けの賃貸住宅の需要は拡大していくことが予想されます。

東京の世帯数の予測

(出典:東京都政策企画局)

一方で、ワンルームマンション建設用地を確保するのは難しく、各自治体のワンルームマンション規制もあって、供給はなかなか増えません。好立地のワンルームマンションは人気が高まり、家賃が上昇するエリアも出てきています。

ワンルームマンション投資をすると、家賃を受け取ることができますが、マンション管理費や修繕積立金などはオーナーの負担になります。ローンを元利均等返済すると手元に数千円から1万円程度の毎月のキャッシュフローが残ります(ローン金利や借入期間、借入金額によって異なります)。

例えば、2020万円の物件を頭金10万円、諸費用60万円、ローン借入2010万円で35年ローンで返済すると次のようになります。

<span>35</span>年返済ローンのシミュレーション

(出典:資産デザイン研究所セミナー資料)

ローン返済に占める元本返済金額分は、ローン残高の減少になります。手元にお金は残りませんが、ローン残債が減っていくので実質的な資産の拡大になります。

管理会社は毎月3000円程度で管理を行ってくれます。テナントの募集や家賃の回収など、面倒なことはすべて代行してもらえますので、購入後も特にやることはありません。賃貸契約は2年ごとに更新され、更新料が支払われます。こちらも一部はオーナーの収入になります。

【パターン3】のお金を借りる力を使って、あまりリスクを取りたくない方は、まずこのような空室リスクの低い都心・中古・ワンルームマンションを1戸購入してみてはどうでしょうか。

一棟ものへの投資は、経験と余裕のある方向け

同じ不動産でも、一棟ものと呼ばれる建物をまとめて購入する場合は、リスクがかなり高くなります。【パターン4】のお金を借りる力を使ってある程度リスクを取りたい方は、このような投資を検討してみましょう。

ただし、不動産投資未経験者がいきなり一棟ものに投資するのはやめた方が良いと思います。ワンルームマンション投資で経験を積んでから、さらにリスクを取りたいと思ったら検討すべき投資対象です。

一棟ものとワンルームは同じ不動産でも投資に必要なスキルが随分異なります。一棟ものは、物件の目利きが必要になり、管理も管理会社任せではなく、ある程度自分でやる必要も出てきます。

不動産投資を拡大していく場合、最初に購入したワンルームマンションを2戸、3戸と増やしていく方法もあります。一棟ものよりもリスクが分散され、堅実な投資ということができるでしょう。

いかがでしたでしょうか。資産運用は年齢や性別に関係なく、これからの日本人には必須といえます。しかし、正しい知識を持ってしっかり資産を増やせる人は意外に少ないのです。お金の専門家と言われるファイナンシャルプランナーでさえ、正しい知識や経験を持っている人は数えるほどです。

資産運用は実際にやったことのある経験者に聞くのが一番です。不動産投資なら不動産を実際に所有している人から聞く方が、大学教授や評論家に聞くよりもきっと役に立つと思います。

失敗しない資産運用を実現するには、正しい知識と経験を持った人に聞く。「誰と付き合うか」が、これからの資産運用では成功を決める要因になってくることでしょう。

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※3月8日(木)19:00からFUMIKODAショールームで、内藤忍氏に資産運用についてご講演いただきます。ご興味のある方は下記よりお申し込みください。

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内藤 忍

Shinobu Naito

1964年生まれ。東京大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院(スローン・スクール・オブ・マネジメント)修士課程卒(MBA)。大手信託銀行、外資系資産運用会社勤務を経て、1999年にマネックス証券株式会社の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長などを経て、株式会社資産デザイン研究所を設立。代表取締役社長就任。一般社団法人海外資産運用教育協会の代表理事も務める。 著作は30冊を超え、「初めての人のための資産運用ガイド」は10万部のベストセラーに。 早稲田大学、明治大学、丸の内朝大学などで、資産運用に関する講座を開講。 ワインバー「SHINOBY`S BAR 銀座」のオーナーとしての顔も持つ。