多くの経営者を見てきて知った、人生を好転させる「愛嬌力」の鍛え方:祐川京子氏 CLUB FUMIKODAイベントレポート
ビジネスシーンにおいて、どんなスキルよりも大切になるのが「コミュニケーション」というプリミティブなスキルと言っても過言ではありません。とくに、おだてるのでも媚びるのでもない「ほめ言葉」の語彙力は、責任ある立場になればなるほど必要になるのではないでしょうか。
2019年5月23日(木)、FUMIKODA SALONで開かれたのは「キャリア女性のための、コミュニケーションを円滑にする“愛嬌力”と“ほめ言葉”講座」。リクルートエグゼクティブエージェント コンサルタントの祐川京子さんをお招きして、「愛嬌力」を高め、円滑にコミュニケーションを図るための「ほめ言葉」の活用術を教えていただきました。
人間関係も人生もスムーズにする「愛嬌力」とは
祐川京子さんは現在、いわゆる”ヘッドハンター“として企業とエグゼクティブな役職に就く人を結びつける仕事をしています。企業の理念や方向性にフィットする人材を見極める能力はもちろん、豊かな人脈を持っていなければ両者を引き合わせることはできません。どうやってその人脈を築いていったのか、会は祐川さんが重ねてきたキャリアの紹介から始まりました。
新卒で生命保険会社の事務職に就いた祐川さん。やがて法人の営業を担当することになり、さまざまな企業の役員クラスの人と交流するなかで、「コミュニケーション」の大切さを痛感したといいます。ご自身曰く「自己啓発オタク」となり、経営者たちが関心を持ちそうな新しい情報を仕入れては、ありとあらゆる交流会に参加。そうしてできた人脈が今の仕事に生かされています。
たくさんの経営者と会って気づいたのは、長期的に仕事がうまくいっている経営者は「ほめられ上手」「可愛がられ上手」であるということ。
「つまり、愛嬌力があるということなんです。愛嬌力があれば人間関係も人生もうまくいく、それは経営者に限ったことではありません。『男は愛嬌、女は度胸』というフレーズがありますが、女性だって愛嬌があるほうがいいですよね」
「愛嬌力」を鍛えるには、意識的なトレーニングが有効
自分のなかに秘められた愛嬌力を発揮するためには、意識的にトレーニングすることが大切だそうです。そこで祐川さんが挙げてくれたのは3つの例です。
【例1】「いつもおしゃれですね」とほめられたら、どう答える?
素直に受け止めていいのか、謙遜すべきなのか、確かに返事に困ってしまいます。以下、「松・竹・梅」の回答例を祐川さんが解説してくれました。
<回答例>
梅:とんでもないです、そんなことありません。
竹:恐縮です。
松:ありがとうございます!ほめていただいてうれしいです。
「梅」は謙遜のつもりが、相手の言葉を否定しているNG回答。「竹」は一応、相手の言葉を受け入れているので、梅よりはマシ。「松」は素直に受け入れ、ほめてくれたことに感謝を伝えています。「とんでもない」が口癖の人がいますが、あまり使いすぎるのも可愛げがありません(祐川さん)
【例2】有名大学出身のエリート若手課長をほめるには?
人は他人からほめられると、現金を受け取ったときと同じ脳の部位が活性化するといわれているそうです。つまり、ほめられてうれしくない人はいないということ。相手が喜ぶほめ言葉のレパートリーを増やすことも愛嬌力のひとつ。
<回答例>
梅:やっぱり◯◯大学出身だけあってすごいですね。
竹:お若いのに課長とは、すごいですね!
松:スーツが決まってますね!
有名大学出身者は褒められていることに慣れているので、大学をほめてもあまり響きません。「竹」は悪くはありませんが、出世頭をネタにするのはあまり上品ではないですね。「松」はファッションをほめていますが、男性は時計やメガネといった「ギア」をほめるのは有効です(祐川さん)
【例3】異業種交流会のお誘い。先約があるときの断り方は?
SNSなどで誘われることの多いイベント。お断りのメッセージがタイムラインにあふれるのは幹事は望まないため、個別にメッセージを送ったほうがスマートだそうです。
<回答例>
梅:既読スルー
竹:「残念ながら、先約があるので欠席します」と個別に返信
松:「残念ながら、恩師との約束があるので伺えません」と個別に返信
特上:「お誘いをありがとうございます。先約がありましたが、日程調整ができましたのでぜひ伺わせてください」。
「梅」の既読スルーはもってのほか。繰り返すと誘ってもらえなくなる恐れがあります。「竹」は悪くはないですが、普通。「松」のように「恩師との約束で」「私が監事の会で」などと、どうしても外せない理由であることをさりげなく伝えるのもあり。さらに「特上」のように予定を調整してまで参加するというツワモノもいます(祐川さん)
コミュニケーションの基本「傾聴」をスムーズにする言葉選び
「コミュニケーション上手=話し上手」というイメージがありますが、「コミュニケーションは、相手の話を傾聴することから始まる」と祐川さん。傾聴するときに使いたいのは「すごい」「はじめて」「おもしろい」という3つの言葉です。
「この3つの言葉を使って話を傾聴すると、相手はこころよくいろんなことを教えてくれます。また、『深いですね』『勉強になります』という言葉も、刺さる人は多いですね」
逆に、女性が使いがちな『わかる!』『なるほど』といった言葉は、少し目線が上からになるので、ビジネスにはあまりおすすめしない言葉。また、せっかく相手が親身に相談にのってくれているのに、「どうして」「なぜ」「無理」「難しい」ばかりを返しているようでは何も言いたくなくなります。
デキる女性にありがちな「お言葉ですが」は完全にアウトです。そして「要するに」「要は」は、その人の話がまとまっていないと言っているようなもの、と祐川さん。口癖になっている人は注意してみるといいかもしれません。
「愛嬌力とは、相手に好意や関心を示したり、気持ちを和やかにしたりするために使うものと言えます。もともと愛嬌がないタイプだからとあきらめなくて大丈夫。愛嬌力は後天的に学習できるものですし、人生を変えるパワーはむしろ愛嬌より愛嬌力のほうが上回っているのではないでしょうか」
祐川さんが「生まれつき愛嬌がない私でも、愛嬌力を身につける方法はないか」と試行錯誤してたどりついたテクニックは、著書『人に好かれてうまくいく「愛嬌力」』(大和書房)にまとめられています。また、コーチングの権威である本間正人氏とともにまとめた『ほめ言葉ハンドブック』(PHP研究所)はシリーズ4冊で20万部以上を売り上げるヒット作。ぜひ参考にしてみたいものです。
主催の幸田フミからもFUMIKODAのご紹介をさせていただきました
2019 AUTUMN & WINTER COLLECTIONを皆様にお披露目いたしました
シャンパーニュ「Duval-Leroy」
最後まで残ってくださった参加者の皆様と記念撮影
祐川 京子(ゆかわ・きょうこ)
リクルートエグゼクティブエージェント コンサルタント。第一生命の一般職として十数年勤務。事務職や法人営業を経て、営業スキルの研修講師となり、生保レディや異業種のビジネスパーソンに向けて講演・研修を行う。現在はリクルートエグゼクティブエージェント コンサルタントとして、幹部層の人材紹介に従事。『ほめ言葉ハンドブック』(本間正人氏との共著、PHP研究所)はシリーズ累計20万部以上を売り上げるスマッシュヒットに。ほかにも『夢は宣言すると叶う』(中経出版)、『人に好かれてうまくいく「愛嬌力」』(大和書房)などの著書・共著がある。