「日本酒を通じて地域を元気にしたい」フリーアナウンサー、和酒コーディネーター あおい有紀:FUMIKODA WOMANインタビュー vol.07

「FUMIKODA WOMANインタビュー」では、さまざまな仕事の現場で活躍する女性たちへのインタビューを通し、仕事への取り組み方から、生き方やライフスタイルまでをお伺いします。今回は、フリーアナウンサーで和酒コーディネーターとしても活躍するあおい有紀さんにお話を伺いました。聞き手はFUMIKODAのクリエイティブディレクター幸田フミです。


航空会社勤務からフリーアナウンサー、そして和酒の伝道師として

幸田:今回は、同じ神戸出身で以前から親しくさせていただいているあおい有紀さんをお迎えしました。フリーアナウンサーとして活躍するなか、日本酒の魅力を伝えるためにイベントや講演会、セミナーなどで活躍されていますね。フリーアナウンサーになった経緯や日本酒の素晴らしさに目覚めたきっかけからお聞かせください。

あおい:大学時代から、人に物事を伝えるというアナウンサーの仕事に興味がありました。でもちょうどマスコミの採用試験の期間はアメリカに留学をしていたので受けることができず、旅も人も好きだし海外にも興味がある、という理由で選んだのは航空会社でした。3年間仕事を通じて学ぶことばかりでしたが、その後の人生を考えた時にアナウンサーになる夢があきらめられなくて。このタイミングしかない!と会社を辞めて上京。アルバイトをしながら1年間アナウンススクールに通いました。

幸田:一度社会人の経験をしたからこそ、本当にやりたいことが見えたのかもしれませんね。

あおい:はい、3年間は遠回りのように思えて、自分が本当にやりたいと確信するために必要な時間だったと思います。何もやらずに後悔するより、やれるだけのことをやってみよう、ダメだったらまたその時に考えればいい、という覚悟でこの世界に飛び込みました。アナウンサーの事務所に入ってからは、ありがたいことに運よくキャスター、レポーター、ナレーションなど様々なジャンルのお仕事をいただけるようになりました。それまで触れることのなかった世界に触れ、奥深さを知り、伝えることができるのがこの仕事の醍醐味ですね。初めてのレギュラーはラジオの競馬番組で、一から競馬の勉強を開始。毎週末JRAに通いパドックの司会を担当していました。次第に競馬新聞を読むのも楽しくなっていましたよ。

また、時代は小泉政権下、郵政民営化や北朝鮮の拉致問題などで世の中が大きく動いていたとき。報道番組の生放送で、月~金の帯でアシスタントを担当していましたが、放送中いつなんどき意見を求められるか分からず、集中力も必要な現場。政治家や経営者、専門家に直接話をうかがえる貴重な体験でしたが、毎日が勉強でした。お陰様で物事を客観的に見る目や、急な展開にも冷静に対応するアドリブ力は身についたと思いますね。

あおい有紀 FUMIKODA

幸田:朝の情報番組では生CMパーソナリティとしてレギュラー出演していましたよね。朝が早くて大変だったのでは?

あおい:ありがたいことに11年半も務めさせていただきました。飲んだり食べたりすることが大好きなので外食の機会も多かったですが、体調管理もしつつがんばって早起きしていました(笑)。

幸田:大好きな食を仕事にしようと考え始めたのはいつ頃からですか?

あおい:「食を仕事にできる」なんて思ってもみなかったのですが、30代になると「仕事を続けていくには、何か専門分野を持たなければ」と感じ始めるようになりました。年齢を重ねてますます活躍なさる先輩もいらっしゃいますが、女子アナ生命はなかなか短くて。私も気象予報士やファイナンシャルプランナーの勉強をしようかと思ったこともあったのですが、自分のなかで腑に落ちたのが食のことを体系的に学べるフードアナリストでした。はじめは学ぶことを楽しんでいただけでしたが、フードアナリスト1級を取得し始めたころから不思議と食関連のご縁を沢山いただき、周囲の環境が急激に変わっていくのを感じましたね。


日本酒が軸となり、さまざまな世界にふれることができる。

幸田:日本酒の一番の魅力は何だと思われますか?

あおい:日本酒は一説に2000年ほどの長い歴史があると言われています。現在47都道府県すべてに酒蔵があるので、和酒を通じて地域の魅力を知ることにもつながります。原料が米であることを考えれば農業は切っても切れませんし、気候風土、水、郷土料理、器や酒器、食まわりの織物といった工芸品、代々受け継がれる祭りの文化、そしてそれにまつわる人々。日本酒を軸にしてその土地の奥深い魅力にふれることができます。

また、海外では日本酒ブームだと話題になることもありますが、実際海外に輸出されているのは生産量全体のたった4.4%。今後も海外への伸びしろはありますが、むしろ心配なのは落ちていくばかりの日本国内での消費量です。日本酒は進化を続け年々美味しくなり、どんな食事にもあわせて楽しめるほど味わいは多様化しているのに、その魅力を知らない日本人が多い。もったいないですよね。私はそれを伝えていけたらなと思っています。

あおい有紀 FUMIKODA

幸田:とても共感します。私もFUMIKODAのバッグを通じて、日本の素晴らしい伝統文化を知ってほしいという思いがあります。有紀さんはそれを自分の言葉で伝えられるからすごいなと思います。

あおい:取材のために、全国の酒蔵や田んぼにはかれこれ300回以上足を運びました。現地で見て、伺って、リアルに感じたことを日本酒セミナーや講演などでお伝えしています。日本酒業界は歴史が長いぶん、昔の体制が残っているところもありますが、私のような“畑違い”の者も受け入れてくれる柔軟性もあります。イベントなどに協力を仰ぐとき、はじめは戸惑う蔵元さんも、何度もお会いするうちに心を開いてくださったり、二つ返事で快諾くださり、こちらが想定していた以上の嬉しいご提案を逆にいただくことも。一歩ずつ粘り強さも必要ですが、信頼関係を築きながら日本酒ファンの裾野が広がっていくお手伝いをこれからもしていきたいですね。

消費を上げるには、日本酒の家飲み需要を増やしていくことも大切。各ご家庭の冷蔵庫に、常に日本酒が1本は入っている光景が当たり前になる日を夢見ています(笑)。日本酒コーナーを監修している高級スーパーでは、味わいをタイプ別に表現したり、自宅の食卓に日本酒があるシーンを想像しやすいよう「至福のペアリング」と題して、相性のいい日本酒とおつまみを並べて置くように工夫しています。そうすると手が伸びやすくなり日本酒もおつまみも、動きがあるんです。興味はあるけれど、種類が多すぎてどれを買えばいいのかわからないという方が多いのだなと痛感します。

幸田:和食以外のジャンルの料理と日本酒をあわせるイベントも開催しているそうですね。

あおい:はい、フレンチやイタリアンだけでなく、中華料理やエスニックにもあわせられるほど、スパークリングや酸味の強い日本酒など、個性の幅が広がっています。もちろん、家庭料理との相性もばっちり。日本酒はキリっと冷やしたりお燗にしたりと、同じお酒の温度違いで味わいの変化を楽しむことができるので、前菜からメインディッシュまで一本で合わせることも可能。そうやって飲んでいると四合瓶なんてすぐ空いちゃいますね(笑)


日本酒もFUMIKODAも、その背景にあるストーリーとともに良さを伝えたい


幸田:今後はどんな活動をなさっていかれるんですか?

あおい:「日本酒を通じて、地域を元気にしたい」という想いもあり活動していますが、今後は日本酒のブランディングにも力を入れていけたらと思っています。日本酒の付加価値を上げながら世界に広めていくためにも、酒蔵ツーリズムに大きな可能性を感じています。年間の訪日外国人数が3,000万人を超えたとニュースになっていましたが、日本には欧米の富裕層が長期で滞在したいと思える宿泊施設が少ないんですね。バカンスで長期滞在してもらうためには、宿泊はもちろん、アクティビティや日本の郷土や伝統文化を感じられる、そこにしかない魅力コンテンツを掘り起こし、磨いていく必要があります。

たとえば私とフミさんの故郷である兵庫県は、日本酒生産量全国1位、酒米の王様と言われる山田錦生産量も全国1位で、シャトーペトリュスと同じ粘土質の土壌がある特A地区と言われる田んぼもあり、酒蔵もあれば温泉もゴルフ場もあって、世界的に有名な神戸ビーフもあります。このような場所に海外の方が憧れを抱き、こぞって日本を訪れ滞在を楽しみながら地酒を飲んでくれる、そんな日本酒の聖地が生まれるようなブランディングをすることで、日本酒の未来も開けていき、観光客誘致で地域の活性化にも繋がるのではと強く思っています。

あおい有紀 幸田フミ FUMIKODA

幸田:「和食」はブランディングされてきていますが、伝統工芸はブランディングがうまくいっていない印象が拭えませんね。誇るべきストーリーがあるのに、語り部がなかなかいなくてもどかしいです。

あおい:そういう点でも、FUMIKODAのバッグはすごいなって思うんです。ファッションに日本の伝統工芸を落とし込んで発信していますし、素材もパーツも縫製もすべて「Made in Japan」にこだわっている。

幸田:ありがとうございます。あおいさんはいつもFUMIKODAのバッグを素敵に持ちこなしてくださいますよね。

あおい:FUMIKODAのバッグに出会ったときは、まさに「ドンピシャ!」だと思いました。「アニマルフリー」「エシカル」といったメッセージ性もあって、もちろんデザインも素敵。パーツを付け替えるなどしてカスタマイズもできますし。軽くて使い勝手のよい、働く女性が胸を張って仕事に臨めるバッグですよね。とても気に入っています。

あおい有紀 FUMIKODA

幸田:あおいさんはいつも「日本酒をまず飲んでみてほしい、そうすればおいしさがわかるから」とおっしゃいますよね。私も同じで、FUMIKODAのバッグも実際に手にふれて使っていただければ良さを実感していただける自信があります。パーツひとつにしても、たとえばべっ甲風のバーはプラスチックではなく、コットン主体の素材を鯖江の職人がひとつひとつ磨き上げているから質感にあたたかみがあってすごくいいんです。写真や言葉だけでは伝わりません。

あおい:FUMIKODAのバッグにはストーリーがありますよね。自分が持つものにはストーリーがあるものを選んでほしいというメッセージも伝わります。私も日本酒は製造方法や技術だけでなく、テロワールや造り手の想い、日本酒がもつ懐の深さといったストーリーをお伝えしていきたいと思っているんです。

幸田:私たち、ミッションは同じですね。これからもお互いに日本の素晴らしさを伝えるために切磋琢磨していけたらうれしいです。今日はありがとうございました。

あおい有紀 FUMIKODA

あおい有紀さんプロフィール

兵庫県神戸市出身。航空会社勤務を経てフリーアナウンサーとなり、テレビやラジオなどで活躍。また、日本の食や和酒の魅力を伝えるために、酒蔵ツアーやさまざまな国の料理×日本酒のコラボイベントなどを数多く企画・主催、講演、審査員、国内外での日本酒セミナー講師、全国での日本酒イベント司会など幅広く活動している。
食の情報メディア「dressingでの、和酒を楽しめるお勧めの店を紹介する連載も人気。

日本酒造青年協議会認定 酒サムライ叙任。 
日本酒蔵ツーリズム推進協議会 民間委員

ブログ:https://ameblo.jp/blue-snow927/
日本酒日和(舵社)監修:http://kazi.co.jp/public/book/bk12/1136.html