第三話 理想のバッグが形になるまで(前編)
10年以上理想のバッグを探し続けても見つからず、「世の中にないなら自分で作ろう」と決意し、立ち上げたFUMIKODA。第一作目のバッグを作る過程で、美しいバッグの裏にある環境問題や製造背景を知り、「心から誇りを持てる素材を選びたい」という想いが芽生えました。
本記事では、理想のバッグを形にするために選んだこだわりの素材について、クリエイティブディレクター 幸田フミへのインタビュー形式でお届けします。
Q. バッグの素材選びで大切にしたポイントは何ですか?
機能性、見た目のエレガントさは必須。その上で、レザーが生産される背景を知ったことで、さらに「環境に優しいかどうか」という基準も加わりました。
どれほど美しく使いやすいバッグでも、それが出来上がる過程で大きな犠牲が払われていると思うと、胸を張って使えませんから。各国を回って条件に合う素材を探し、最終的に行きついたのは、日本製の人工皮革でした。
Q. 人工皮革はどのような点で優れているのですか?
人工皮革は、マイクロファイバーなどを絡み合わせた不織布を使い、天然皮革の手触りや風合いを模して作られた素材。見た目や質感は天然皮革と遜色なく、かつ軽く、水や汚れに強く、耐久性も十分。
縫製が難しいことや「高級バッグには天然皮革」という通念が根強いことなどから、バッグにはあまり活用されていませんでしたが、FUMIKODAのバッグにふさわしい素材でした。
Q. なぜ「日本製」の人工皮革を選んだのですか?
人工皮革は海外でも作られていますが、私自身の目と手で、それぞれ見て触れて、日本製のものが最も繊細で美しく、風合いにも品があると感じたからです。
「さすが、ものづくりの国・日本だな」と、誇らしい気持ちになりました。その一方で、もどかしさも感じました。
Q. そのもどかしさとは、何ですか?
日本の"職人仕事"はこんなにも質が高い。にも関わらず、その価値があまり知られていません。日本では、多くのものづくり現場で職人の高齢化が進み、後継者不足に悩んでいます。
長年、手から手へ、心から心へと伝承されてきた細やかな技術と美意識が、途切れようとしているのです。私に何かできることはないかと考えました。
Q. 日本のものづくりの流れを未来に繋ぐため、どんなことに取り組んでいますか?
FUMIKODAは、生地素材から縫製まで、すべてメイド・イン・ジャパン。地域のものづくり現場と連携し、伝統的な技術や製造プロセスを活かしたバッグづくりに取り組んでいます。
熟練の職人さんたちの手仕事から生まれるバッグは本当に素晴らしい。一目見て美しさに惚れ惚れし、一度使えばずっと使いたくなる名品です。FUMIKODAのバッグを通して、日本の職人さんたちの技術と美意識の価値が少しでも世の中に伝わることを願います。
Q. 職人さんたちと共にものづくりをすることには、どんな学びがありますか?
ものづくりは、技術や知識だけではない、心の仕事だということです。「つくったものを見れば、つくった人の性格までわかる」という職人さんの一言に、ハッとしたこともあります。
使う人を幸せにできる、長く愛されるバッグを生み出せるかどうかは、つくる人たちの心次第。もちろん、私もその一員です。心を込めて、誠心誠意、ものづくりと向き合っていかねばと、日々身が引き締まる思いです。
(第四話に続きます)
















































