第二話 FUMIKODAを立ち上げた理由(後編)
自分の"バディ"となってくれる理想のバッグを10年以上、探し求めました。探し抜いて、試し尽くして、疲れ果て、ついに「世の中に、理想のバッグは存在しないのだ。ならば自分で作ろう!」と決意して――
なぜ、自分のためのオーダーメイドでは終わらず、ブランド立ち上げにまで踏み出したのか。その挑戦に至った背景を、本記事ではお伝えしたいと思います。
美しさの裏側にあった、残酷な現実
自分で作るのだから、お金も手間暇も妥協しない。機能性にもデザインにも自分の理想を100%詰め込んだ最高のバッグにしよう、と意気込んでいました。
高級感のあるバッグにしたかったので、当然、素材はレザーにするつもりでした。どのようなプロセスでレザーバッグが作られるのか、さっそく調べました。
そして、それまでのワクワク感が一気に凍り付くような事実を知ることになりました。
まず、レザーの生産地を調べたところ、多くがアジアの途上国で作られていました。国の経済を支える主要産業だということです。
しかし、その主要産業は経済的恩恵を与える一方で、環境汚染の温床にもなっていたのです。
レザー作りの過程では大量の水と化学薬品が使われ、それが適切に処理されないまま川に流れ込み、川の水が薬品色に染まることもあるほどだ、と。
多くの人々が、その汚れた水を生活用水に使っており、さまざまな健康被害の発症事例が見られている、と。
すべての生産現場にあてはまることでは、ないかもしれません。2016年当時の情報ですから、現在は状況が改善されている部分もあるでしょう。
ただ、その時の私には、とてもショックな話だったのです。
知れば知るほど、胸が潰れる思いでした。美しくエレガントだと思っていた素材が、多くの犠牲の上に生まれていたというのですから。
自分だけでない、働く女性のために
もちろん、さまざまな価値観を否定するつもりはありません。ただ、私自身は「心から心地よさを感じられるもの」を選びたいのです。
どれほど機能性が高くても、デザインがエレガントでも、そのバッグを持つことに後ろめたさが生じてしまうバッグは理想的ではありません。
バッグは、働く自分を応援してくれる"バディ"。持てば、いつも以上に背筋が伸びる。持っている自分自身を誇らしく思える。そんな存在であってほしいのです。
機能性やデザイン性だけでは足りない。誰かや何かを傷つけることなく、安心して使える物でなければいけない。理想のバッグのイメージが明確になってきました。
そして「このバッグは、本当にこの世の中にまだ存在しない物なんだな」という想いは、ますます強くなりました。
まだ世の中に存在しない、理想のバッグ。これが出来上がり、"バディ"になってくれたら――
常に自分に誇りを持ち、背筋を伸ばして働くことができるはず。それは、仕事が生き甲斐の私にとって、本当に本当に、幸せなこと。
その幸せをたくさんの人と分かち合い、たくさんの働く女性が自分に誇りを持てたら。
だったら理想のバッグを、自分以外にも届けよう。誰に求められたわけでもなく、自然と想いが湧き上がってきました。
そして、理想を形にする素材は、意外なことに、とっても身近なところで見つかったのです。
(第三話に続きます)
















































