国産のお米を使用した「ライスレザー」で社会課題の解決を目指す 〜FUMIKODAの新たな取り組みVol.2

サスティナブルなものづくりが進む中で、お米由来のバイオマスプラスチック「ライスレジン」をもとに作られた、国産ライスレザーの研究開発が進んでいます。

日本において生産量が多いお米を原料にすることで、100%国内生産、高品質、安定供給が実現できると注目を集めています。

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ブランド表示副資材企画・製造販売している「コバオリ株式会社」は、1年半前からライスレザーの製品開発にも取り組んできました。石油由来の素材の置き換えではなく、ライスレザーを一つの選択肢として世界に広めていくことを目指します。
開発担当の加藤雅士さんよりライスレザーを通した社会課題解決への想いについてうかがうことができましたので、FUMIKODAのコンテンツディレクター白井愛奈がレポートいたします。

環境配慮への想い
出会いから始まった国産ライスレザーの開発

白井愛奈(以下白井):ライスレザー開発のきっかけをお伺いできますか?

加藤雅士(以下加藤):コバオリ株式会社は元々、アパレルブランド向けの副資材(タグ、織りネーム、ICチップタグ)の販売メーカーです。副資材は基本的に廃棄の対象となるので、会社として環境に配慮した取り組みには継続的に取り組んできました。
当初は袋やボールペン等を「サトウキビ」や「とうもろこし」などのバイオマス素材を使用して制作していましたが、より消費者に浸透する製品を制作したいという思いを持つようになりました。また、ファッション業界も変革期を迎え、地球環境に配慮した製品の開発を本気で考えるようになり、弊社で何か取り組めるものはないか模索していた時に出会ったのが、株式会社バイオマスレジンホールディングスの「ライスレジン」でした。

白井:ライスレジンについて詳しくお伺いできますでしょうか?

加藤:ライスレジンは、食用に適さない古米、米菓メーカーなどで発生する破砕米など、飼料としても処理されず廃棄されてしまうお米を、新しいテクノロジーでプラスチックへとアップサイクルした素材です。

原料としての米は最大70%まで混ぜることが可能で、石油系プラスチックの含有量を大幅に下げ、焼却時のCO2排出削減に貢献します。カーボンニュートラル、フードロス削減にも繋がる新しい素材として注目されています。

白井:ライスレザーはライスレジンをもとに作られているのですか?

加藤:その通りです。ライスレザーは、ライスレジンを原料の一部に使用している持続可能でエシカルな合成皮革です。

白井:素晴らしいですね。ライスレジンの出会いからライスレザーの開発が進んでいったのですね。

加藤:弊社がライスレザー開発をすることに、最初はアパレルの会社から理解を得ることが難しく苦労もありました。また、レザーを製造するノウハウもなかったため合成皮革を製造している会社と連携をしました。
バイオマスレジンホールディングスのライスレジンを使用して、1年半試行錯誤を重ねた結果、弊社として納得がいく皮の風合いを再現した国産のライスレザーを製作することができそうです。これまでも展示会で試作品の展示は実施していましたが、今回ようやくFUMIKODAさんと共に、市場で販売する製品化を実現することができました。

様々な社会問題解決につながる
「ライスレザー」

白井:ライスレザーを広めていくにあたって、大切にしていることはありますか?

加藤:私たちはライスレザーを通して社会課題を解決すること、バイオマス素材業界を盛り上げることが重要であると考えています。

ライスレザーを通して解決できる社会課題は主に2つあります。

1. 環境への配慮

ライスレザーの原料に使用されているライスレジンは、バイオマス原料である為、限りある化石資源を消費する従来のプラスチックの代替になります。且つ、非食米を使用することでフードロス削減にも貢献。全て日本で製造しているため輸送時のCo2排出量も減少できます。

2. 休耕地・耕作放棄地の有効活用

ライスレジンの原料となるお米の一部は休耕地や耕作放棄地などを活用して作られています。
日本には東京都2個分の約42万haの耕作放棄地が存在しており、3年放置すると稲作に適さない状態になってしまい、次に水田に戻そうとすると5年を要すると言われています。ライスレジン用の米を育てて耕作放棄地を耕す事で、いざという時に食用の米を生産することも可能となります。
現在、新潟・熊本で栽培したお米を使用している他、風評被害が未だ消えない福島県浪江町で栽培したお米を使用しており、地域支援・復興支援にも繋げる想いで活動をしています。今後は北海道をはじめ全国各地にも広げる予定です。

現在も試行錯誤して追求する
”本当の意味でのサスティナブル”

白井:今後はバイオマスの比率を高めていくのでしょうか?

加藤:実は私たちは、バイオマス比率を高めるほど環境に配慮できるかというとそうではないと考えています。
当初比率を高めたいと考えた事もあったのですが、バイオマスの割合を高めると結果として長く利用できる素材にならない。という問題点があります。例えば、弊社のライスレザーは素材の15%が米で構成されていますが、米を混ぜて作っているため米の比率が高まれば高まるほど素材は硬くなります。わかりやすく例えると「米菓」に近くなってしまい、使用感として気持ちの良い生地ではなくなってしまうのです。

長く使えるものでないと本当の意味でサスティナブルな商品とは言えないと考えているため、環境配慮と耐久性や素材の風合い等のバランスが取れたものに仕上げるのに大変悩みました。今でも悩みながら、より良いものを作るために協力企業と試行錯誤しています。
ライスレジンも新しいグレードの誕生が予定されているため、今後も製品にとってより良い形を模索しながら開発を進めていきたいと考えています。

白井:更なる進化が楽しみですね!今後の目標があれば教えていただいてもよろしいでしょうか?

加藤:ライスレザーを使用する事で、環境に配慮できるだけではなく社会課題の解決にも繋がります。こうした側面を消費者の方に伝えながら、ライスレザーを活用した様々な身近な製品を提供することで、より良い社会づくりに貢献したいと考えています。

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コバオリ株式会社が熱い想いをもって開発した国産ライスレザーから出来上がるFUMIKODAの新しいアイテムをどうぞお楽しみに!
 

加藤雅士氏 プロフィール
コバオリ株式会社へ入社後、一連の業務を経験し、生産管理部門で主に紙工品の購買を担当した後、開発推進部 企画開発グループに配属。様々な企画開発へ関わりながら、本企画の開発に携わる。

コバオリ株式会社
コバオリ株式会社は1947年創業。ブランド表示副資材の企画・製造販売の事業を「ブランドパッケージングソリューション」のコンセプトの下、ブランドの価値を守り高めるための商品・サービスをトータルに提供し、一つ一つの商品価値を高め、付加価値を生み出すことを目指しています。近年では、RFIDやICタグのような新技術を取り入れ、サスティナブルな観点でのものづくりをテーマの一つにしています。