幸田フミと高岡銅器、そして100年人生:FUMITALK

こんにちは、幸田フミです。

今から約100年前、日本人の平均寿命は男性が43歳、女性は44歳だったそうです。

そして昨年厚生労働省が発表した最新のデータによれば、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳と、たった100年の間に私たちは2倍の人生を楽しめるようになりました。

この先まだまだ寿命がのびそうなFUMIKODA世代。もし100歳まで生きるとすれば、95歳ぐらいまでは現役で打ち込める趣味や仕事をもっておきたいですね。

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Q. FUMIKODAバッグのパーツに使っている「高岡銅器」ってなんですか?

今から400年前、加賀藩主の前田利長が高岡城を築城した際に7人の鋳物師を招集したのがきっかけで、富山県の高岡では文具、香炉、花瓶、茶器、仏具などたくさんの銅鋳物が作られるようになりました。のちに「高岡銅器」として全国に広まり、今では銅器製造で国内トップのシェアを誇っています。

中でも着色の工程を専門とする伝統工芸士、折井宏司さんが生み出す、目が覚めるほど鮮やかな「ORII BLUE」の緑青に魅せられ、FUMIKODAのバッグや小物のパーツに高岡銅器を使わせていただいています。

折井さんが手がける多彩な表情の色味には定評があり、南蔵院の釈迦涅槃像や皇居の装飾具などにも採用されています。


Q.高岡銅器を積極的に使うのはどうしてですか?

2016年にニューヨークで開催されたオートショー「New York International Auto Show」や、パリのファッション展示会「トラノイ・ファム」で、FUMIKODAのバッグとともに高岡銅器をお披露目した時のことです。
日本独自の伝統技術によるターコイズブルーを目にした海外の方たちの反応はすこぶる良く、「見たことがない色だ」「神秘的だ」などと口をそろえて感動してくれました。

しかし仏具などの需要が次第に減少しつつある昨今、高岡銅器を鋳造する事業所はこの30年で約半数に、職人の数は3分の1に落ち込んでいます。

世界に誇れる素晴らしい日本の工芸品を、この先作れなくなってしまったら。悔しすぎませんか?まずは私たちが、日常生活の中でORII BLUEを身にまとってみてはいかがでしょうか。

働く女性のバッグをとおして、少しでも多くの人の目にふれる機会を増やすことができるかもしれない。
そして高岡銅器の魅力を日本中に、そして世界中の人々に広く知ってもらえれば、400年もの間脈々と続いてきた産業が、この先500年、1000年と永続するのではないかと考えています。


Q. 100歳の時になにをしていたいですか?

デザインの仕事をしていたいです。
その頃、世の中の働く女性たちが、お仕事バッグを持ち歩いているかどうかはわかりませんが。
それでも時代にあったライフスタイルを提案できるデザイナーとして、仕事をしていたいと思っています。

私のお葬式かなにかのシーンで、誰かが死体の私を指差し、「 “デザイナーの”幸田フミさん、享年100歳でした。」なんて紹介してもらえるとしたら本望ですね。
生涯現役をめざしてがんばります。

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バッグづくりを始めてから、明確なミッションを抱えて人生を歩んでいらっしゃる方と出逢うことが多くなりました。ものづくりに打ち込んでいる方のみならず、FUMIKODAを愛用してくださっている様々な職業のキャリア女性から刺激を受けることも多々あり、たくさんの学びの機会をいただいています。

「あ、この方は生き方がわかっていらっしゃるんだな。」と感じとれる方からは、無理に何かを背負い込こもうという力みはまったく感じられません。きっと、運命の引力に逆らうことなく自分に正直に生きているうちに自然にミッションにたどり着き、ご自身がやり遂げるべきことときちんと向き合いながら日々歩まれているんだな。と、勝手な解釈をして、自身の生き方を考える時の糧にさせていただいています。

そんな瞬間に出会える度に、幸田フミとしてのミッションを振り返りつつ。残り約半分の人生を楽しみたいと思います。


FUMIKODA クリエイティブディレクター
幸田フミ