【アンケート調査結果】SDGs、サスティナブルの認知度が高まるも、行動には結びつかず

パンデミック下でのSDGsへの意識の高まりと、具体的な行動へのジレンマ

エシカルなものづくりを続けるバッグブランド「FUMIKODA」を企画・販売する株式会社FUMIKODAは、2022年2月に1,074名を対象に「エシカルファッションとSDGs」に関する意識調査を実施いたしました。2020年3月の調査に引き続き、2回目の調査となります。


アンケートを集計し、2年前の調査結果と比較したところ、「SDGs」や「サスティナブル」の認知度が高まっている一方で、実際の行動にはなかなか結びついていないというギャップがあることが明らかになりました。

調査の背景

2015年、国連で持続可能な開発目標「SDGs」が採択され、2030年を目標達成年と設定しました。その後2020年を「行動の10年」とし、SDGsへの取り組みを加速させていくことを世界中に呼びかけています。

一方で、2020年には世界的なパンデミックが起きました。この年FUMIKODAは「エシカルファッションとSDGs」に関して最初の調査を行いました。
「行動の10年」以降、パンデミック下で人々の意識はどのように変化したのか。私たち企業に求められていること、取り組んでいくべきことはどんなことなのか。そのヒントを得るために再び調査を実施いたしました。

調査結果サマリー

  • 「サスティナブル」の認知度は21%から47.4%に増加
  • 「エシカルな行動」を実行している人はほぼ横ばい
  • 「エシカルな行動」の内容は、エコバッグ持参のほかは低迷
  • 「SDGsを知っている」が15.7%から51.9%に増加
  • 日本の課題だと感じているのは、目標8「働きがいも経済成長も」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

調査結果

1. エシカル、スローファッション、サスティナブル、リユース、それぞれの意味をご存知ですか?

SDGsに関するキーワードの認知を前回の調査結果と比較すると、「サスティナブル」(21%→47.4%)については大幅な増加が見られました。しかし、「エシカル」(18%→19.7%)、「スローファッション」(20.4%→10.8%)、「リユース」(65.2%→57.5%)に関しては微増もしくは減少しました。

※エシカル:地球環境や人、社会、地域に配慮した考え方のこと。
※スローファッション:簡単に捨てずに長く着用すること。ファストファッションの逆の意。
※サスティナブル:持続可能であること。特に環境破壊をせずに維持、継続できること。
※リユース:そのままの形状で再度使用すること。

2. アイテムを購入する際、「エシカル」な商品かどうかを意識して選んでいますか?

前回の調査では、49.5%が「意識していない」と答える一方で、半数が「エシカルな商品でなければ買わない」(1.8%)、「できるだけエシカルな商品を選ぶ」(17.3%)、「どちらか迷ったらエシカルな商品を選ぶ」(31.5%)と答えました。
今回の調査では、「意識していない」(49.3%)、「エシカルな商品でなければ買わない」(1.6%)、「できるだけエシカルな商品を選ぶ」(15.3%)、「どちらか迷ったらエシカルな商品を選ぶ」(33.9%)となり、ほとんど変化がないことがわかりました。

3. エシカルなバッグを購入したことがある、または今後購入する気持ちを持っていますか?

「考えたことがない」(34.0%→53.2%)、「購入したことはないが今後買う気持ちはある」(48.3%→36.8%)、「購入したことがある」(17.7%→10.1%)となり、エシカルなバッグへの購買意欲は全体的に低くなっていることがわかりました。

4. エシカルであれば、そうでないものより多少高くても購入しますか?

「少しでも高ければ購入しない」(31.5%→51%)、「10%程度であれば購入する」(64.5%→51%)、「2倍の価格でも購入する」(4.1%→2.5%)となり、エシカルな商品の価格に対する見方がシビアになっていることが見受けられます。

5.「エシカル」で連想するブランド

前回の調査では、「patagonia」や「People Tree」、「STELLA McCARTNEY」など、海外の代表的なエシカルブランドが票を集めていましたが、今回、「UNIQLO」と「無印良品」という日本のファストファッションをけん引してきた2大企業がランクインしたのが印象的でした。

衣類の回収ボックス設置やリサイクルの促進など、SDGsに向けた各社の取り組みが消費者の共感を呼んでいると考えられます。

2020年 patagonia(54票)
People Tree(27票)
STELLA McCARTNEY(22票)
FUMIKODA(20票)
チチカカ(20票)
2022年 FUMIKODA(24票)
patagonia(23票)
UNIQLO(21票)
People Tree(19票)
無印良品(14票)

6.「エシカル」について意識し始めたのはいつ頃からですか?

エシカルに対して意識している場合は「1~2年前」(18.0%)からという回答が最も多く、「ここ半年」(14.2%)、「5年以上前」(10.2%)、「3~5年」(5.0%)と続きました。
2年前の調査と比較すると、「意識したことがない」と「5年以上前」が共に増加しており、他は減少していることがわかりました。エシカルに対する意識が両極化している様子が見て取れます。

7. 具体的にどのような「エシカル」な行動をしていますか?

これまでの回答で、「意識して行動している」にチェックを入れた方に、具体的な行動を選択していただいたところ、「エコバッグを持参する」(81.5%)や「詰め替え用を購入する」(55%)、「電気をこまめに消す」(52.3%)などの行動を多くしていることがわかりました。

特筆すべきは、前回の調査に比べて殆どすべての行動が減少しているなかで、「エコバッグを持参する」が、増加している点です。
2020年7月のレジ袋有料化を受け、5人に4人の日本人がエコバッグを持ち歩くようになりました。政治主導の環境対策が有効に働いた好例と言えるでしょう。

8. 「SDGs」という言葉をご存じですか?

「知っている」(15.7%→51.9%)、「聞いたことがある程度」(26.1%→40.9%)という結果から、90%以上の日本人がSDGsという言葉を何らかの形で耳にしていることがわかりました。

学校教育や企業活動の現場でSDGsについて学ぶ機会が増えていることや、オリンピック、パラリンピックでメディアに大きく取り上げられるなど、様々な要因が考えられます。

言葉の認知がここまで進んだ今、私たちは次の段階、具体的なアクションに進む時が来ているのかもしれません。

9. 「SDGs」の世界を変える17の目標の中で、日本の課題だと感じるものは何ですか?


SDGsへの取り組みの中で特に日本が抱えていると思われる課題は、「8.働きがいも経済成長も」(50.8%)、「14.海の豊かさを守ろう」(44.6%)、「5.ジェンダー平等を実現しよう」(43.2%)、「1.貧困をなくそう」(42.6%)、「3.すべての人に健康と福祉を」(41.4%)となりました。
前回の調査と比べて14項目で増加が見られ、関心の高まりが見て取れます。

特に顕著な増加がみられたのは、「14.海の豊かさを守ろう」(35.8%→44.6%)、「12.つくる責任、つかう責任」(25.9%→33.3%)、「8.働きがいも経済成長も」(43.5%→50.8%)、「5.ジェンダー平等を実現しよう」(36.5%→43.2%)となっており、政治や企業活動の指針になると考えられます。

 <調査の概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象:10代以上の男女 1,074名
集計期間:2022年2月25日〜 3月11日

今回の調査を集計するにあたり、印象的だったのは、各項目におけるデータのばらつきでした。
例えば、エシカル関連のキーワードについての認知度調査では、4つのキーワードのうちの3つの値が変化ない、もしくは低くなっているのに対し、「サスティナブル」については大幅な高まりを見せました。

また、SDGsに関しては、90%以上の認知度があるにもかかわらず、それが日常的な行動に結びついていないという実態が明らかになりました。
特に消費行動においてそのジレンマは顕著であり、たとえエシカルな商品でも、「少しでも高ければ購入しない」人の大幅な増加は、パンデミックで生じた経済状況の厳しさを物語っています。

その中にあって、「UNIQLO」と「無印良品」という身近な国内ブランドがエシカルな取り組みに注力していることで、消費者の強い共感を呼びました。

これからの企業に求められるのは、より身近なところでエシカルな消費を実践できるように、商品やサービスに対して創意工夫を重ねること。それこそが、日本のSDGsの課題として挙がった「8.働きがいも経済成長も」を解決するカギになってくるのではないでしょうか。 


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