女の顔は人生の履歴書:NY流ビジネスの第一印象を制するイメージマネジメントvol.03
お花だった過去を履歴のひとつにして、今と未来の自分に目を向けられたら、きれいになれるのに。そんな風に思う女性たちに会うことがよくあります。その大半が、もともと「きれい」「可愛い」と言われていた時期があったであろうと思われる方々。
もちろん今でもおしゃれをしている。でも残念ながら、それは現在の彼女たちに合っていない。いや、現在の自分を知らないでいる場合と、自分が見たい自分の姿しか見ていない場合がある、と言った方が良いかもしれません。そして、自分が見たい自分とは、何年も、時に何十年も前の姿であり顔。たいていの場合、その頃の方が華やかで勢いがあり、「きれいだね」という賛辞を一番多く受けていたはず。なのに現在の顔にも、その華やかかしり時のメイクが施されている。
賛辞を受けた経験は、彼女たちの中での大きな成功体験だからこそ、いまだにそのままのメイク法が筋肉運動としてインストールされている。だからこそ忙しい朝、急いでいようが寝ぼけていようが、何とか同じ行動をとることができるのです。しかし、その動きが筋肉に記憶させられた時から今現在まで、どれくらいの時間が流れたでしょうか? インストールされたそのソフトは、アップデートされているでしょうか? そう考えると、少し怖くなりませんか?
当時鉄板だったであろう、その技術データのソフトは限りなく旧式。それにその当時のあなたの顔は今どこにもないのです。対象が違うのに、昔の情報を当てはめようとしても、当然良い結果は生まれないということはお分かりですね。
去年着ていた服が全然似合わなくなってしまった…。それに気づいた時、当然顔の状態も顔つきも変わっている。服のシフトチェンジをする際には、アクセサリーであるメイクも一緒に変える必要があるのです。ただ、選び直して着れば、すぐに結果が目に見える服とは違い、毎日自分で行うルーティーンのひとつであるメイクと、頻繁に目にすることのある自分の顔は、気づきそうでなかなか気づかない「日常」の象徴でもあるのです。
そんな自分の顔とそこに施すメイク。せっかく時間をかけ、自分を少しでも良い状態にしようとしている行為が、情報・技術・アイテムのアップデートがされていないことによって、かえって自分を悪くしているとしたら、それはまったく生産性がないことです。そればかりか、その労力・時間・物品使用のすべてにおいてマイナスな上に、モチベーションも落ち、実は肌にも良くないのです。
大人のビジネス・プロフェッショナルな女性たちには、スマートかつ効率的に、ご自身の顔だちや立場、目的に適切な美しさを自ら創造することこそ大事です。2018年の第一歩として、まずはご自分の顔と向き合い、手持ちのツールを見直し、これからの自分の顔を作る準備をしましょう。
1)年に一度は自分の顔を知る
顔の形状を客観的に見直す。眉の描き方、肌の作り方の大事なポイントは確実に変わる。目と眉の間が開き始めるのが大人世代、細く描いた眉では、ますます隙間が空き、目元のたるみを目立たせ、老けて見える方向まっしぐら。また、今の自分の目の形や下がり具合と合わせた眉の描きかたができていないがゆえに、バランスの悪い顔になっている人がほとんどです。
そして肌。一流の人の肌に必要なのは「艶」と「血色」です。若い時には少しマットで、肌の色が均一なクールで大人っぽい顔を目指すのも良いのですが、すでに大人になった女性の顔には、ツヤと血色がマスト。グリッターなどの光沢ではなく、生き生きとしたみずみずしい、ふっくらリッチな肌づくりが大事です。したがって、それを叶えるファンデーション選び、自分の血の気の色をサポートする自然になじむチーク選びが肝となります。
2)日常的なビジネスシーンに不可欠な、現行のアイテムを厳選して選ぶ
同じ色目でも、質感・光具合が変わり、これが古いままだと、顔が古臭く見える。現行商品を使うことで、今の時代をそのままうまく取り入れることができる。特にアイカラーとリップ。
3)特別な場面(華やかな場)の時用のアイテムを、ひとつふたつ選ぶ
その際、日常的なビジネスシーンに使うアイテムに加えて使うことのできるものを選ぶのがポイントです。
4)古い化粧品は捨てる
どんなに気に入っていて、まだ十分残っているものだとしても、心を鬼にして捨てる。大人のビジネス・プロフェショナル世代には思い出深いフューシャピンクの口紅、どうぞ使わないでください。思い出があるのなら、箱にしまって封印しましょう。今のあなたが使っても、いいことは何ひとつありません。今の時代背景と合わないということは、あなたのビジネスにおける感覚(センス)も疑われます。
そして何よりも、古くなったメイク用品は肌に良いわけがありません。古くなったものは油も悪くなっています。せっかくスキンケアでアンチエイジングを目指しても、そのそばから酸化した油を顔にぬったり、細菌が発生している可能性のあるプロダクトを使っているとしたら本末転倒。コスメ好きで、買ってしまうけれど一定の使い方しか知らないため全部使いこなせずに、いつまでも残っている方や、もったいない精神の方は要注意です。
道具選びはこれから毎日かけることになる時間と労力、その結果に大きく響きます。ですから、自分にとって使いやすいものを選ぶこと。これが日常的に無理なく継続でき、効果を上げる重要なポイントです。
そしてこのツールを、年に2回(春夏・秋冬)アップデートしてマイナーチェンジをすること。「自分で使うアイテムなんて、そうそう変わらない」ということは、絶対にありません。男性の装いがサイズ1ミリで大きくイメージが変わるのと同様、女性のメイク用品のほんのちょっとの色や質感の違いは、あなたの顔イメージを大きく変えます。
目指すは、あなたの現在の顔立ちを最もよく見せること。それには今ある肌を最もきれいに、顔の特徴やイメージをより良く、そして、あなたの内面をうまく表現すること。それができて初めて、大人の女性ビジネス・プロフェッショナルの顔として、他者の期待に応えることができるのです。
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ここで3つの引用を用いてまとめを。
人間の遺伝子学的影響の話。これは40歳くらいまでとされているそうで、それ以降効力は失われていくのだそうです。そうなると、親から受けついだ美貌や、形状が良いがゆえの恩恵を受けられるのも40歳くらいまで。大人のビジネス・プロフェッショナル世代になると、自分が何を成し遂げてきたか、その生き方こそが大きく反映された顔になっているといえます。
アメリカ16代大統領のリンカーンは「男は40歳になったら自分の顔に責任を持たなくてはならない」と言いました。奇しくもここでも40歳という数字です。女性が社会で活躍する現代では、アメリカだけでなく世界中の女性にもこの言葉は当てはまるものです。
そして働く女性の先端を走ったココ・シャネルの言葉「20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績」。若さという種類の美しさや、遺伝による恩恵効力も40前後で切れるとすれば、リンカーンの言う通り40歳で自分の顔に責任を持ち、尚一層精進した時、50歳になった時の顔は豊かで誇れる自分の功績として美しく存在するでしょう。
生き様の履歴である自分の顔に責任を持つ意識と行動こそ、ビジネス・プロフェッショナルとして重要なのですから。
Niena Etsuko Hino
東京生まれ ニューヨーク在住
武蔵野美術短期大学在学中、コロンビア大学(米国・NY)へ留学。武蔵野美術大学卒業後、パーソンズ美術大学(米国・NY)に留学、「ファッション&イメージコンサルティング」コース修了、ディプロマを取得。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークで株式会社リアル コスモポリタンを設立。
ニューヨークと東京を拠点とし、国際的に活躍するトップエグゼクティブ・ビジネスプロフェッショナルを対象に、国際イメージコンサルタントの第一人者として20余年にわたり活動。NY在住の最新かつ生のグローバル感覚と俯瞰的なビジネス知識を持ち、日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)を対象に、企業ブランドとトップのパーソナルイメージを含めた、包括的なブランディングと施策提案など総合的なコンサルティングを手がけている。
近年は男性トップに加え、女性トップエグゼクティブ(経営者・執行役員・上級管理職)対象のプレゼンス向上コンサルティングや講演・研修、執筆に力を入れており、銀座 英國屋との提携による、女性エグゼクティブ向けスーツ監修のほか商品開発監修、国際基準のビジネス・スタイルや国際的なビジネス・ルールの提起、アドバイザリー、海外進出を目指す企業・個人に対し、グローバルマーケットでのブランディングやビジネス・コンサルティングまでプロフェッショナルチームを組み、総合的に行っている。
AICI(国際イメージコンサルタント協会)ニューヨーク支部元ボードメンバー。スティービーアワード審査員。
■主な著書・執筆
『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、
『Premium Image management for Men』DVD監修(SONY PCL)、
『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) 等
■連載
『Business Rule Book』(小学館「Precious」2016年10月号別冊より「precious.jp」連載中)
https://precious.jp/category/business-rule/
『ニーナ 江都子 日野の戦略的プレゼンス』(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/052600138/
その他、メディアへの執筆多数
■関連情報
株式会社リアル コスモポリタン
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