幻の日本ワイン「ドメーヌ・ミエ・イケノ」。池野美映さん自ら語る10年の軌跡

国産ブドウを使って国内で生産する「日本ワイン」の人気が高まり、世界最大規模のコンクールで初のプラチナ賞を受賞したり、海外の三ツ星レストランでも選ばれるようになり、世界でも高い評価を得ています。

八ヶ岳にある小規模なワイナリーのドメーヌ・ミエ・イケノは、売り出すとすぐに売り切れてしまう「幻のワイン」と言われ、今年4月にオープンした商業施設「GINZA SIX」の酒販店「IMADAYA GINZA」が、オープン記念にドメーヌ・ミエ・イケノのワイン約200本売り出した時も、即完売しました。

ドメーヌ・ミエ・イケノ
Mie Ikeno 2015 millésime Chardonnay, Pinot Noir, Merlot 出典:mieikeno.com

まずは土地探しから

フランスで葡萄栽培、醸造学、微⽣物学、経営学などを学び、その後ブルゴーニュや南フランスなど各地の醸造所で経験を積んで帰国した美映さん。

心の中で大切に育ててきた”自分の手で育てたブドウでワインを造りたい”という思いを実現するため、長野や山梨を中心に土地を探します。

たどり着いた地は、耕作放棄地だった桑畑。絡まる桑の根を切りながらトラクターをかけ、野焼きをし土壌を整え、2007年に3,300本のブドウの苗木を植えました。支柱を立てるのだって、もちろん自分たちだけ。すべてが一から、すべてが手作りの畑。

ブドウの苗木も少しずつ育ち定着しはじめた2008年~2010年は、試験醸造の時代。

醸造場のある勝沼まで、毎日往復110キロ通い、一番邪魔にならない場所を借りて、隅っこの方で作業する日々。

ボトルにコルクを打ち込む打栓も1本1本手作業。「1000本ノックならぬ1000本打栓って感じでした(笑)ラベルも、もちろんオリジナルのデザインで手作業で貼っていました。」(美映さん)

ドメーヌ・ミエ・イケノ

出典:mieikeno.com

いよいよ醸造所の建設という時に

2011年、ブドウの樹も成長し、自分で製造できるだけの本数になったため、委託醸造からワイナリーの建設に踏み切った美映さん。
時を同じくして、東日本大震災が起こりました。