美容と健康、味覚を育むために欠かせない、発酵の専門家おすすめの「発酵フード」

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日本酒、醤油、お味噌など、日本人にとって身近な存在である発酵食品。その驚くべき効能が注目を集めています。今回は「発酵」の専門家に、女性が知っておきたい発酵の基礎知識を教えていただきました。

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こんにちは、「日本発酵文化協会」上級認定講師の作間由美子です。

「発酵がこれから来るぞ!」といった雰囲気でマスコミに取り上げられ始めた2012年、この日本古来の食文化である発酵を一時のブームで終わらせてはならないとの思いで「日本発酵文化協会」が立ち上がりました。その立ち上げメンバーとしてかかわらせていただいてから、現在では上級認定講師として、発酵フードのすばらしさをみなさんにお伝えするべく活動させていただいています。

私自身もともとは、ソムリエとしてワインの醸造についての知識はもっていましたが、日本の発酵フード、そして文化に触れれば触れるほど、その奥深さにますますはまってしまいました。

幸いなことに私たちが心配したような一時のブームで終わらず、ますます栄養豊富で美容効果もある発酵フードの人気は高まるばかりです。
しかも、日本のみならず世界中から和食が注目されるのとあわせて、発酵フードは「HAKKO」と表記されるほど世界中から注目を浴びています。

FUMIKODA 発酵フード

発酵フードは世界中に星の数ほど存在しており、「味噌」、「醤油」、「みりん」、「酢」「酒」。といった和食の基礎調味料から、「漬物」、「チーズ」や「ヨーグルト」、「生ハム」、「ワイン」、「ビール」、「パン」、「チョコレート」といった嗜好品まで、実に多種多様。

今回はその中でも日本ならではの発酵フードであり、特に美容と健康面で注目されている「甘酒」と、味覚を育む「醤油」についてお話していきましょう。

 

美容と健康面で注目される「甘酒」は、
飲む点滴

甘酒は駅のコンビニやスーパーで常設しているところも増え、以前よりポピュラーになってきました。朝食やおやつがわりにする人も増えているようですので、この機会に特徴に少し触れていきましょう。

FUMIKODA 発酵フード

甘酒には2つの種類があるということをご存じですか?
「麹と水をまぜて発酵させたもの」と、「酒粕に砂糖を加えて、水で溶いたもの」とがあるのです。いずれにしても微生物の力を借りてできた飲み物のことです。

「麹と水をまぜて発酵させた甘酒」は日本書紀にも出てくるほどの歴史があり、江戸時代には飢饉を救ったスーパー発酵フードです。現代では医療用の点滴とほぼ似ていることから「飲む点滴」、美肌効果が期待されていることから「飲む化粧水」といわれています。

甘酒は、麹菌によってお米のでんぷんをブドウ糖に分解する酵素やビタミン、その他多く生成された栄養素の宝庫なのです。それらが「第二の脳」といわれる腸を元気にするといわれており、注目を浴びています。

 

腸内の善玉菌を増やし、強化する発酵フード「甘酒」

甘酒を飲むことによって、健康維持や老化防止に役立つアミノ酸やビタミンB群などの栄養成分を摂取できるので、疲労回復に効果があります。
また、毎日少しずつ摂取し続けることで腸内フローラを活性化させるので、腸内環境改善につながり、病気になりにくく健康的な体調管理が期待できます。

ちなみに、腸内フローラが理想的なバランスは次のとおりです。

善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7

「善玉菌」は乳酸菌やビフィズス菌などで、免疫を強め、便通を促し、ビタミン類を生成し、消化を助けます。「悪玉菌」はウェルシュ菌や大腸菌などで、便を腐敗させたり、発がん性物質を出す性質を持っています。「日和見菌」は無害ですが、優位な菌の影響を受けるので、常に善玉菌側にいてもらう必要があります。

では「善玉菌」をどのように増やし、強くすれば良いのでしょうか?

人間でもそうですが、まずは何よりも餌が重要です。甘酒やヨーグルトをはじめとする発酵フードや食物繊維が豊富な野菜を食べることが、人間の中に善玉菌を増やし、強くする近道です。なかでも甘酒が持つ100種類以上の酵素の1つである「食物繊維分解酵素(セルラーセ)」は、食物繊維をオリゴ糖に分解してくれます。それが善玉菌の大好物なのです。

なので、甘酒を飲み続けることで善玉菌が強くなり繁殖していくので、整腸作用、免疫調整作用につながります。

 

「甘酒」は美肌、ダイエットにも効果的

ほかにも甘酒は美肌にもたいへん効果的です。「コウジ酸」が肌を白く美しくすることは、コウジ酸を配合した化粧品が開発されていることからもすでに証明されています。

さらには、甘酒は甘さで脳が覚醒されるだけではなく、満腹感を得ることができます。ゆっくり朝食を摂る時間がない時でも朝食にすることで昼まで空腹を感じることなく、俗にいう腹持ちのいい飲み物であるというのも利点です。

飽食の時代、プチファスティングで胃腸を休め、身体をリセットするために甘酒を飲むという人も増えており、「ダイエット効果が高まる」とも言われています。
また、最近は飲むだけではなく、砂糖の代わりに調味料として甘酒を使う人も増えています。

 

腸内の掃除をしてくれて、美白効果が高い「酒粕」

一方の「酒粕でつくる甘酒」も、砂糖やアルコールが含まれていることで敬遠されがちですが、酒粕自体は麹からできているので栄養分が豊富です。
酒粕は日本酒のもろみを搾った後に残る白い固形物で、昔から甘酒のほかにも漬け床などによく使われています。

FUMIKODA 発酵フード

実はこの酒粕、最近はその効能を見直されつつあります。酒粕にはシミ・ソバカスを抑えるコウジ酸やリノール酸、アルブチンが豊富に含まれていることから、高い美容効果、美白効果が期待されています。

ビタミンB群やアミノ酸や食物繊維、さらにレジスタントプロテインという、たんぱく質なのに食物繊維のような働きをしてくれる物質を含むことから、代謝を高め、腸内環境を整えることができる優れた発酵フードです。

低体温の方が増えている昨今、体温を上げるには日本酒が一番だといわれています。酒粕を温めてアルコールを飛ばせば汎用性が広がりますのでアルコールが苦手な方も取り入れやすいはず。

これまでスーパーで酒粕を見かけても、活用法が思い浮かばず手を出せなかった方は、鍋物や椀物に酒粕を加えてみてください。特に魚や海藻類と相性がよく、ふくよかな旨みを堪能できます。
酒粕と塩麹を合わせたタレに魚の切り身を漬けておき、焼いて食べても美味しいので、ぜひ試してみてくださいね。

 

味覚を育む発酵フード「お醤油」

お醤油を発酵フードとして意識したことがないと思うので、ここで紹介します。
食べ物の本来のおいしさを味わうために、醤油で味覚を鍛えるトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。

料理本来のおいしさを味わい、ワインや日本酒などとのマリアージュを楽しむのは、洗練された大人の嗜みともいえます。

FUMIKODA 発酵フード

「ウマミ」を感じる味覚を育てるために最適なのがお醤油です。日本人の舌は世界一デリケートといわれているのは、発酵基礎調味料で鍛えられたのではないかと思います。
なかでもウマミこそ和食の醍醐味。利き酒やワインのテイスティングなどはみなさん経験があるかもしれません。その陰で実は、いま、このお醤油のテイスティングが静かなブームなのです。

 

発酵フードの定番、「醤油」は5種類に分類される

日本の食卓に、お醤油ほど当たり前に置かれているものはありません。
ちょっと味が薄いと感じたときなどに掛けると、塩辛いだけではなく酸味、甘み、うま味、そしてあの独特な香りが美味しさを引き立ててくれます。

お醤油はお味噌を作っているときに溜まった汁で、それを舐めた先人があまりの美味しさに液体調味料として作り始めたのが起源といわれています。
本来、お醤油は小麦と大豆に麹菌を付けて発酵させ醤油麹を作り、それを塩水に漬けて寝かせ、時期がきたらそれを搾ったものですが、材料の大豆と小麦の割合や食塩の量、醸造期間によって仕上がりが変わり、5種類に分けられます。

みなさんが何気なく使っているのが「濃口醤油」で、江戸時代に全国に広がり現在も約80%のシェアを持つ、甘みとうま味のバランスがよく香りの高いものです。

その他に、素材の味を引き立てる「淡口醤油」、味も色も濃厚な「たまり醤油」、味わい深くまろやかな「再仕込醤油」、色が薄く甘みさえ感じる「白醤油」とあり、地域や料理によっても使い分けられています。
たとえば、色をつけたくないお吸い物や茶碗蒸しなどには白醤油、照り焼きにはたまり醤油がよく合います。

余談ですが、健康・美容にも左右する添加物。今、添加物などの影響で味覚が鈍っている人が多い傾向があります。
またアレルギーとの関係性もあり、素材を確認したり無添加の調味料を探している人も少なくありません。小麦アレルギーの人のために、醤油の原材料となる大豆と小麦の要素を持ちあわせたそら豆から作られはじめていますので、探してみてくださいね。

 

ニューヨーカーも注目する木桶仕込みの高級醤油

大手メーカーが醤油を世界に広め、もはや「SOY-SOUSE」は日本の代表的な調味料として定着しました。
そんな中、ニューヨークのアッパークラスや美食家たちの中で、今、木桶で作られた高級醤油が話題をよんでいるそうです。彼らにとって醤油は調味料というより、ちょっとだけアクセントに使う嗜好品のようなものですので、それぞれの蔵で作られた個性豊かな風味や味わいが、ワインを選ぶような感覚で楽しまれているそう。

FUMIKODA 発酵フード

木桶で作った醤油はウマミ成分が高く蔵ごとの個性も強く出ています。木桶についた菌はその蔵の長に似てくるらしく、同じ土地で同じ配合でもまったく違うテイストの醤油が出来上がるというのも魅力的。
ステーキに合う醤油、白身の刺身に合う醤油、豆腐にかける醤油、煮込み料理につかう醤油など使い分けも面白いものです。

 

発酵フードで日本のさらなる探求を

世界中から注目が集まっている発酵フードは、急ピッチで研究が進められ、今後学術的な発見も期待されています。

特に日本は「四季がある」、「湿度が高い」といった独特の気候風土に支えられ、菌が寄生しやすく、発酵がしやすいことから、世界的にみても発酵フードが豊富です。また、発酵技術も世界より早く確立されていました。

日本の各地には、まだまだ一般には知られていない発酵フードが存在し、それを発掘するのも発酵フードの魅力のひとつです。この先また新たな味覚が発見されるかもしれません。
日本各地を旅しながら、さまざまな発酵フードを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

作間 由美子(さくま ゆみこ)

 

有限会社メディア・サーカス 代表取締役社長
一般社団法人日本発酵文化協会 上級認定講師/発酵マイスター/発酵プロフェ
ッショナル

編集プロダクションとプロデュースを合わせ持つ会社を経営し、次世代に残し
たいコト・モノや思想を書籍化し、セミナー、イベントを通して人々に伝える
ことを主に行っている。
セルフメディケーションをテーマに、医学博士と共に、自己管理のできる採血
健診と未病に着目した健康セミナーを開催している。
また、『発酵で日本を繋ぐ!』をテーマに、日本の食文化の素晴らしさを次世
代に繋げ、日本国内外に広げるべく、一般社団法人日本発酵文化協会の立ち上
げから関わり、現在は上級認定講師として活躍中。企業や団体向けのセミナー
は、わかりやすく面白い、丁寧な教え方と定評がある。


  • 2020.01.31
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