開発ストーリーvol.1〜創立100年企業の食へのこだわりに裏打ちされた大人のスイーツ「Veblé」開発秘話

地球や動物、そして人々が持続可能な社会で心地よく暮らせることを願いながらものづくりを続けているFUMIKODAは、お客様であるビジネスパーソンにも楽しみながら食の選択肢を広げていただきたいという想いで、ディナータイムのあとのお酒のおつまみにもなる甘さ控えめのヴィーガンサブレ「Veblé(ヴィブレー)」をプロデュースしました。

ヴィーガンサブレ「veblé」とシャンパーニュ「DUVALLEROY」

「Veblé」は、バターを使用せず、植物性の食材だけでしっとりとしたリッチな味わいに仕上げた大人のためのスイーツです。糀甘酒やてんさい糖、淡雪塩など自然の素材を使用したやさしい食感に、ブラックペッパーで深みとスパイス感を加えました。

Veblé


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「Veblé」は、バターの代用となる油脂製品である「botanova 植物のおいしさ バター風味」をご提供いただいたミヨシ油脂株式会社の開発チームと共同開発をいたしました。チームメンバーの奥野さん、堀内さん、浜本さんに、プラントベース食品に取り組んだきっかけや、「Veblé」の開発秘話を語っていただきました。

左から、ミヨシ油脂株式会社の奥野さん、堀内さん、浜本さん、FUMIKODAの杉村

ミヨシ油脂がプラントベース食品に取り組んだきっかけ

近年は、植物性の素材を使用したお菓子も増えるなど「プラントベース」(※2)という言葉が消費者の方々にも身近になってきましたが、私達ミヨシ油脂が「botanova」シリーズの開発を始めた5年前は、国内の食品市場の中でプラントベース食品はまだ黎明期でした。一方で、国外に目を向けるとアメリカでは既に一般的になっており、弊社としても環境問題、食糧危機、健康志向の高まり等から取り組む必要性を感じました。未開拓の市場でしたが、「育てていきたい」という想いでプロジェクトをスタートすることになりました。

ミヨシ油脂提供

私達が開発を始めた当初、食品業界で「プラントベース」や「ヴィーガン」などのコンセプトのお菓子やパンがなかったわけではないのですが、バターや動物性の原料をそのまま液体の植物油脂に置き換えて作ったパンやお菓子が多く、味に満足感を得られていないという現状がありました。そこで、香りや味にも十分な満足感を得られる製品を作りたいと思い、「botanova」シリーズを開発することとなりました。
実際に調査したところ、一般消費者におけるプラントベース食品の「認知」は73.6%に対して「味の改良」を求める声が40.1%(※3)と、認知が高まる一方で味の満足感が得られていないことが明らかになっています。

※2 プラントベースとは、Plant(植物)とBased(由来)を組み合わせて作られた言葉です。厳密に定義が決まっているわけではありませんが、積極的に植物由来のものを取り入れる考え方を指します。
※3 ミヨシ油脂株式会社が2021年に実施したアンケート調査結果より

バターの香りだけではなく高いレベルで風味も再現した「botanova 植物のおいしさ バター風味」

動物性から植物性へ食の大きな改革が始まっている中で、植物性の食品にも動物性由来ならではの美味しさを求める人も少なくありません。「botanova 植物のおいしさ バター風味」はそのような方にも満足いただけるよう、香りだけではなく味も高いレベルでバターを再現した製品です。「botanova 植物のおいしさ バター風味」の開発は、植物由来の成分だけで作るという制約があったため社内に全くノウハウがなく、ゼロベースのスタートでした。味の構成を決めるにもいつもとは違う原材料を使い、目指したい味をどう再現するかから検討する必要がありました。

議論を重ねて味が決まりそうだと思っても、実際に製造機に通した時に上手く作れるかというのはまた別の問題。そのため、骨格が確定してからも配合の調整を重ねていきました。ミヨシ油脂が長年培った食品技術のノウハウを結集させ、2年の開発期間をかけて数百パターンの香味と味の分析と検証を繰り返し、動物性由来の「おいしさ」を徹底的に分析した事で植物由来の素材のみでバターの風味を再現する事ができました。

実は、食べて美味しいと感じるかは、すごく感覚的な部分のため数値で見える化するのは難しい領域です。そのため、成分を分析して数値化し科学的な裏付けを以てご提案することが、市場の中でも求められています。
「これはなぜ美味しいのですか?」という問いに、説得力を持たせる必要があるのです。
今回のヴィーガンサブレ「Veblé」の開発においても、香りを分子レベルで特定する機械を使って成分解析をして科学的な分析をしました。その甲斐あって、バター不使用とは思えないリッチな味わいを実現する事ができたのです。

シャンパーニュとのマリアージュを楽しむ「Veblé」
〜香り分析に裏打ちされたペアリング度の高さ〜

「Veblé」の開発にあたって、大人のヴィーガンサブレということでお酒が好きな方にも召し上がっていただけるというコンセプトを設定しました。お酒の中でもシャンパーニュがサブレと相性が良いのではないかと仮説を立て、フードペアリングを実施しました。
フードペアリングには、2つの考え方があります。1つ目は違う物同士を組み合わせて新しいバランスを作る考え方。2つ目は共通の要素を持つ者同士を合わせてペアリングする「同調」という考え方です。

ミヨシ油脂提供

今回、FUMIKODAとゆかりの深いシャンパーニュ「Duval-Laroy」を用いて香りの成分分析をしたところ、「リンゴ・メロンなどの果実様香気」、「チーズ、ファッティー感のある香気」「白い花、はちみつなどの花様香気」、「ロースト香気」が、シャンパーニュ「Duval-Laroy」と「Veblé」で共通することで同調(※4)のペアリングが構成されていることがわかりました。
つまり、「Veblé」とシャンパーニュやワインは、相性抜群である事がデータから導き出されました。まさに大人のヴィーガンサブレにぴったりなものができたのです。
※4「同調」とは、同じ香りの成分を保持するものは相性が良いから合うという考え方

楽しんで購入した結果「環境に良い」製品を生み出したい

「Veblé」の開発プロセスのように、試作した商品利用シーンを想定してペアリングする食品を考えるのは、弊社としても初めての試みだったのですごく面白かったです。技術的な関心もあるので、この経験を活かして今後もさまざまなもので提案をしていきたいです。

弊社はBtoBメーカーのため、ついつい製品ばかりに目がいきがちですが、このコラボレーションを通して最終的に消費者の方が手に取って召し上がっていただく際に、「どんな体験になるのか」まで考えてモノづくりをする姿勢を学びました。
出来上がった商品の「ペアリング」というのは、消費者の皆様に新しい「体験価値」を生むと考えていますし、それは私たちのモノづくりにおいてもすごく重要になってくると思います。

今回の体験価値を重視したモノづくりの経験は、今後の製品づくりの礎になると考えています。環境に良いものだから選ぶ。というよりも、選んだものが結果的に環境に良く、その体験自体が楽しいと思っていただければ嬉しいです。
これからもお客様の食生活に潤い、喜び、楽しさみたいなものを生み出していきたいです!

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サブレの要となる植物性油脂「botanova 植物のおいしさ バター風味」をご提案いただいたミヨシ油脂株式会社は、100年以上の歴史を持つ企業。新たな食の選択肢を広げていただきたいというFUMIKODAの想いに共感し、ご協力いただけたこと大変嬉しく思います。

FUMIKODA、ミヨシ油脂株式会社、株式会社ハット・トリックの3社が力を合わせて作った大人のヴィーガンサブレ「Veblé」は、7月21日よりFUMIKODAオンラインブティックにて販売を開始いたします。
3社妥協のないこだわりの元、作り上げられた「Veblé」をどうぞお楽しみに!

Veblé

編集後記:

今回「Veblé」にバターの代用として使用した「botanova 植物のおいしさ バター風味」は成分表示上ではマーガリンに分類されます。
ところでみなさん、マーガリンに対してどのような印象をお持ちでしょうか?
トランス脂肪酸を沢山食べると体に良くない。などの理由で、マーガリンを敬遠されている方も多いと思います。実は私も今回取材をするまで、そのような認識がありました。
そこで、マーガリンの体への影響をミヨシ油脂さんに詳しく伺ってみました。

ミヨシ油脂:トランス脂肪酸のイメージから、マーガリンは体に良くないイメージをお持ちの方が多いです。ですが、近年は食品業界の取り組みにより、食用油脂に含まれるトランス脂肪酸の量は従来のものより大幅に低減されています。実は自然の食品(牛肉や牛乳、バターなど)にも、トランス脂肪酸は含まれており、現在はマーガリンに含まれるトランス脂肪酸含有量は自然の食品よりも低くなっています。
WHOは、トランス脂肪酸の総摂取量を「総エネルギー摂取量の1%未満」にすることを推奨しています。日本人では1日当たり、量にして約2g未満に相当するのですが、現在のマーガリンにおけるトランス脂肪酸含有量から換算すると、毎日約200gのマーガリンを食べなければWHOが注意を促す摂取量には達しません。
これらの事実が世の中で浸透していない現状があるため、私たちは「マーガリンあんしんブック」というものを作って認識のアップデートに務めています。食品業界各社も企業努力を重ねていますので、この機会に多くの方に知ってもらえると嬉しいです。

詳しくは「マーガリンあんしんブック」をご覧ください。

 コンテンツディレクター白井愛奈


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ミヨシ油脂株式会社
ミヨシ油脂株式会社(本社:東京都葛飾区、代表取締役社長兼CEO兼CBO:三木逸郎)「油脂の力」で暮らしをニッコリ。それが私たちの仕事です。「あ、このパンおいしい」「このティシュー、肌触りがいいね」など。ミヨシ油脂がつくる製品は、世の中で販売されているさまざまな商品の中に入って、おいしさや使用感、機能性を高めることに役立っています。一人ひとりの心に満足をひろげるものづくり。私たちは高い技術に基づくすぐれた製品の提供を通して、暮らしのすみずみに幸せをお届けしたいと願っています。