大人のダイエット研究所直伝!美と健康に効く「発酵性食物繊維」のサスティナブルな摂り方

日本人にとって身近な存在である和食材。玄米、雑穀、おから、納豆、煮豆、海藻などに含まれる食物繊維の「発酵性」が注目され、その驚くべき効能が。

今回は新著「続食べ〜結果が出る方法がカンタンに続く方法」が話題の、大人のダイエット研究所代表理事の岸村康代さんに、美と健康を継続するために知っておきたい「発酵性食物繊維」の効能と効果的な食べ方について教えていただきました。

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こんにちは、「大人のダイエット研究所」代表理事の岸村康代です。

「食物繊維はスゴイ!」とメディアにも数多く取り上げられ、何となく「食物繊維っていいんだよね、摂らなきゃ」と思っていても、食物繊維って何だかよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。

現代社会は、忙しい毎日を送る人も多く、ストレス社会。私自身も無理なダイエットを繰り返して体調を壊して救急搬送された過去があり、忙しい時こそ健康的な食事がとても大切だけど、忙しい時こそ健康的な食事を摂るのが難しいということを感じてきました。現在は、ズボラな管理栄養士の私だからこそ、手軽に実践できる方法を、少しでも皆さんのお役に立てたらと願い、食のチカラをみなさんに少しでもお伝えできたらと活動させていただいています。


その中で、今、私が注目しているのが食物繊維の「発酵性」。食物繊維は、以前は食べものの「カス」と言われるほど軽視されていたのに、ここ数十年ほどで沢山の研究がされて、様々な健康効果があることが発見されてきました。
ものすごいパワーを秘めているけれど、まだまだ未解明なこともある食物繊維は、今もなお注目を浴びている栄養素です。

今回はその中でも今注目の食物繊維で、特に美容と健康、メンタル面でも注目されている「発酵性食物繊維」についてお話していきましょう。

「発酵性食物繊維」とは、何なのか?

「発酵」といえば、味噌や納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品を思い浮かべる方も多いと思いますが、実はみなさんのカラダの中でも「発酵」が日々起こっています。
それは腸の中で食物繊維をもとに発酵される「腸内発酵」と呼ばれるもので、その過程で生まれる善玉物質の働きにより善玉菌(有用菌)が棲みやすい環境をつくり、人のカラダにとても良い影響を与えてくれているのです。


食品でも、微生物の働きで良い形に作用して生まれ変わるのが「発酵」。微生物の働きで悪い形に作用して、食中毒の原因や汚染の原因になるのが「腐敗」。それと同じようなことが、カラダの中でも起こっていて、腸の中で良い形に作用して微生物が働いてくれるのか、それとも悪い形に作用してしまうのかで、健康や美容のほか、カラダの様々な面に影響を及ぼしてしまうというわけです。

できることなら、カラダの中で「腐敗」のような状況を作らないように、美容にも健康にも良い腸内環境を作りたいですよね。

第二の脳ともいわれる「腸」の不思議

脳といえば、頭の部分だと誰もが思うもの。でも実は、「第二の脳」といわれるほど、腸にはたくさんの信号が送受信されていて、自律神経や免疫機能にも関係するほか、最近ではメンタル面やストレス、アレルギーとの関連があることも報告されています。
腸はただ単に食べたものを消化吸収する働きだけではなく、脳と連携して様々な影響をカラダ全体に及ぼしているのです。


そのように、とても重要な臓器である大腸。腸内細菌はそのほとんどが大腸にいて、約40兆個、その種類は100種類に及ぶともいわれています。私たちが想像もできないほど多くの菌が腸の中にいるということ。その菌を生かすも殺すも食べ方しだい。せっかくなら、有効活用できると良いですよね。

そして大腸は、約1.5mという人の身長ほどの長さがあり、必要なものを吸収して、不要なものを排出する手助けをしています。
その長さゆえに、腸の前半だけではなく、腸の中盤、後半にもそれぞれ発酵することが重要だということ。腸の前半だけに効く食物繊維だけではなく、腸の後半までしっかり「発酵」するように食べることが健康のカギ。

腸内環境についてはまだ未解明なことも多いのですが、長寿の人が多い地域では、先程ご紹介した短鎖脂肪酸の一種である「酪酸」を生み出す菌をもつ人が多いことも報告されています。

私がこれまで1万人の方の食事を見てきて感じるのは、本当に食べ方が乱れていると、メンタルも乱れやすくなったり、それがひどくなるとメンタル不調に陥ることも多いのです。だからこそ、食べ方を変えることは、心の健康にも大切です。

発酵によって生み出される強力なパワー、短鎖脂肪酸

「発酵」によって腸で生み出されるのが、「短鎖脂肪酸」。少し難しい言葉のように聞こえますが、実はこの短鎖脂肪酸は、血糖値の上昇を予防したり、肥満を予防したり、満腹感や免疫機能にも関わるなど、美容や健康に欠かせない働きをしています。

血糖値の上昇を防ぐことは、コラーゲンの変性を防ぐことにもつながり、美容面にも大切。血糖値が急に上昇したり下降したりというのを何度も繰り返していると、すい臓に負担がかかったり、脳やカラダ全体への負担もかかります。満腹感を感じさせてくれる働きもあるので、ついつい食べ過ぎてしまう人にもぴったりです。


さらに、食物繊維には、もともと便のカサを増したり腸の働きを促す働きがあり、便秘予防や脂質の排出を助けるほか、アレルギーの予防やメンタル面を安定させるためにも一役かってくれます。食べるだけで体の中で心身ともにうれしい働きをしてくれるのですから、活用しない手はありません。

いちいち、血糖値予防のクスリを飲もう、肥満予防のクスリを飲もう、メンタルのためのクスリを飲もう、食欲コントロールのクスリを飲もう、なんてしなくても、カラダの中でそのような働きをしてくれるようなもの。そのくらい、食物繊維を摂ること、ただそれだけでカラダにうれしい働きを発揮してくれるのです。

私自身、間違ったダイエットにより、何をやってもやせずに体調を崩して苦しみ、過剰な食欲をコントロールできない自分に自信をなくしたこともありましたが、食物繊維はそのような私のような人にもとても味方になってくれる栄養素です。

食物繊維は「量」と「質」がカギ

ここからは、食物繊維はどのように摂るといいのかを考えていきましょう。

まず初めに「量」のこと。厚生労働省が定める1日に必要な量は、男性21g以上、女性18g以上ですが、特に若い人や食生活が乱れている人こそ不足が深刻です。よく「レタス1個分」という表現を使いますが、レタスでいうと、1日に必要な量をまかなうためには、おおよそ5個分以上も摂らないといけない計算に
生野菜だけではどうしても不足しがちなので、全粒穀物や加熱した野菜などを併せて活用するのが得策です。

次に「質」について。食物繊維には大きく分けて、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。

「水溶性食物繊維」が多く含まれるもの

大麦、オートミール、納豆、アボカド、ごぼう、オクラ、モロヘイヤ、にんにく、干しいも

不溶性食物繊維」が多く含まれるもの

おから、あずき、ひよこ豆、玄米、小麦ふすま(小麦ブランシリアル、全粒粉パン等)、アーモンド、くるみ、枝豆、ブロッコリー、ブルーベリー

「水溶性食物繊維」はネバネバしたりドロドロしたりサラサラだったりと性質は様々ですが、腸の中での発酵性が高く、腸の前半で発酵しやすいことがわかっています。
水に溶けない性質の「不溶性食物繊維」は、本来は発酵性が低いとされているのですが、水を抱え込む性質(保水性)があるので、水を含んで便のカサを増したり、便を排出するために必要な腸の蠕動運動を促して便秘を予防してくれるもの。

以前は“不溶性食物繊維のかたまり”だと思われていた小麦の外皮(小麦ブラン、小麦ふすま)や玄米などに含まれるアラビノキシランという成分。この成分が、大腸の後半部分でさらに発酵することで良い影響を与えてくれることもわかってきました。

また、ごぼうは水溶性だけでなく、不溶性食物繊維にも含まれているマルチな食物繊維です。

食べ方も「サスティナブル」を意識して

「人は食べたものでできている」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、そのくらい毎日の食事は大切です。
でも、頑張りすぎてはストレスが溜まってしまったり、反動でリバウンドや続かなかったり、結果が出ずにそれ自体がストレスになってしまっては本末転倒です。食べるということは毎日の楽しみでもあるので、ストレスを感じさせず、サスティナブル(持続可能)であることが何よりも大切です。

あれもこれも頑張ろうと思ったのに、「何をやっても続かない」という人は、まず1つだけ負担なく続けられそうな食物繊維食材を見つけて、いつもの食事にプラスしてみるのがおすすめ。
今は物価も上がっていたり、食材の価格もだんだんと値上がりしています。たくさんの栄養を摂ってほしいのは山々ですが、あれもこれも、というのはなかなか続けにくいもの。

そんな時に、「発酵性食物繊維」だけは意識して摂るようにする。食物繊維が豊富な食材には、抗酸化成分やビタミン、ミネラルなどが豊富なものも多いので、自然と栄養がプラスできるのです。

いくつか簡単なレシピ、名付けて「ズボラな繊活レシピ」をご紹介します。

ズボラな繊活レシピ

枝豆のクリームチーズおかか和え枝豆
食物繊維がたっぷりの枝豆をメインにしたあえ物です。おかずにも、おつまみにもぴったりな一品!(食物繊維:3.7g)

まるごとオニオン・スープ玉ねぎ
玉ねぎまるまる1個をスープで食べやすく!(食物繊維:3.3g)

ゴボウとささみのごまマヨ和えゴボウ・ニンジン・白すりごま
レンジで簡単!食物繊維がたっぷりとれる1品(食物繊維:2.8g)

鯖缶と納豆の冷やしうどん納豆
混ぜてかけるだけ!栄養もたっぷり(食物繊維5.0g)

満腹感も感じやすく、費用対効果が高い栄養素ナンバーワンともいえるほど、食物繊維食材というのは比較的続けやすく、コストパフォーマンスの高い食材が多いのも特徴です。
大人のダイエット研究所

手軽にプラスできる食材が多いことも、食物繊維食材の魅力。全粒穀物などの丸ごと食べられる食材は、地球にも私たちの体内にとっても、ある意味サスティナブルといえます。

無理なく続けられる持続可能な食べ方が、いつかあなたの健康や美容の助けになってくれるはず。ぜひ今日から無理なく続けられる食べ方で、ストレスなく食を楽しみながら健康になっていただけたらうれしいです。

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岸村 康代(きしむら やすよ)

管理栄養士、フードプランナー、食べ方コンサルタント、一般社団法人大人のダイエット研究所代表理事。
商品開発、病院での指導などを経て独立。メディアや女性誌を中心に食べ方の提案をしているほか、企業の商品開発、商品監修、食べ方提案、食育講師など幅広く活動。自身もリバウンドや体調不良に苦しんだ過去があり、その後15kg減量。健康的に”食べて痩せる“ことを提案。忙しい毎日に実践しやすい方法を発信している。著書に、『続食べ ~結果が出る食べ方がカンタンに続く方法』が好評発売中。その他、『落とした脂肪は合計10トン!伝説のダイエット・アドバイザーが教える最強のやせ方』(東洋経済新報社)、『きれいにやせる食材&食べ方図鑑』(家の光協会)、『新装版 いつもの料理にかけるだけ おからパウダーダイエット』(扶桑社)など。
公式サイト:http://www.power-food.jp/

『続食べ~結果が出る方法がカンタンに続く方法』
出版社 : ‎かんき出版
発売日 ‏: ‎2022/6/8
価格:¥1,540

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