高岡銅器「オリイブルー」の魅力に迫る 〜 伝統工芸士 折井宏司氏 × 幸田フミ トークショー

西武渋谷店のモードプラスで開催したFUMIKODAポップアップ。2019年秋冬コレクションをお披露目しました。

イベント期間中の土曜日、9月7日には富山県高岡市の伝統工芸「高岡銅器」の伝統工芸士、モメンタムファクトリーOrii代表の折井宏司氏をお招きして、FUMIKODAのクリエイティブディレクター幸田フミとのトークショーを開催いたしました。

FUMIKODA × 高岡銅器
コラボレーションのきっかけ

FUMIKODAが2016年のデビュー以来、ずっとコラボレーションさせていただいているのが、折井氏がプロデュースする高岡銅器の「オリイブルー」です。

幸田が働く女性向けのバッグを企画していた際に、機能性を追求しながらも女性が華やいで見えるバッグを作りたい。そして体温を感じるようなあたたかみのある美しいパーツをバッグに使いたいと思い描いていたのですが、そのタイミングで出会い、魅せられたアイテムが富山の伝統工芸「高岡銅器」でした。

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

「FUMIKODAのビジネスパートナーがもともと折井さんの取引先だったことから高岡銅器をすすめられ、レストランのインテリアで使用されていたオリイブルーの壁掛けを見にいきました。力強い色ながらも日本人の肌色と相性がよく、女性を魅力的に見せてくれるブルーだったので、是非FUMIKODAで使わせていただきたいと折井さんにお願いしました。」(幸田)

当時ファッション業界ともコラボレーションしたいと望んでいた折井氏は、二つ返事で承諾してくださったそうです。

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

FUMIKODAの「高岡銅器シリーズ」は発売開始以来好評で、今でも人気コレクションのひとつです。当初はバッグだけでしたが、名刺ケースやスマホケース、そしてアクセサリーなど小物アイテムも少しずつ増えてきています。

高岡銅器の魅力

そもそも高岡銅器とはどういったものなのでしょうか。高岡銅器の着色技術を伝承する家系の三代目を受け継がれた折井氏に紹介していただきました。

「富山県高岡市は、全国の生産量の9割を占めると言われる鋳物の町です。みなさんのまわりにある身近なアイテムとしては仏具、香炉、花瓶、茶器などの日用品から、東京の桜新町にある「サザエさん」の銅像まで様々です。
高岡銅器の製造工程は、しっかりと分業化されていて、各工程を高度な技術を持った職人がそれぞれ受け持ちます。 その行程のなかでモメンタムファクトリー・Oriiは最終工程である「着色」を専門に担ってきました。」(折井氏)

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

折井氏には高岡銅器の着色技術についてもご紹介いただきました。

「銅の色付けに必要な素材は、大根、糠(ぬか)、米酢、梅干、日本酒など天然の素材が使われています。大根おろしと一緒に煮たり、糠みそをつけて赤くなるまで熱したり。化学反応を起こし、腐食や錆を起こすことで色を表現しています。」(折井氏)

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

日本古来の材料をもとに着色を続けてきた高岡銅器。以前は全国から発注が多く高岡も盛況でしたが、バブル崩壊の影響から産業の衰退が感じられたそうです。

「仕事も職人も減り続け、このままでは持続できなくなるので、何とか起死回生しなければと異分野への参入を試みました。自分が「かっこいい」と思う高岡銅器を作るために伝統技法を応用しながら試行錯誤を重ね、板状の金属に着色を施す技法を開発することに成功しました。インテリアや建材に使用されたり、雑貨などを独自にプロデュースしています。」(折井氏)

伝統工芸とファッションとのコラボレーション

最近では安倍昭恵首相夫人が外交の際に、FUMIKODAの高岡銅器シリーズのバッグを愛用してくださっています。ファッション分野への参入は今後も注力していかれるのでしょうか?

「以前VOGUEジャパンの企画で、アンリアレイジの森永邦彦氏がモメンタムファクトリーのユニフォームを制作してくださいました。日本の伝統産業における後継者問題を解決するために多くの方に興味を持ってもらい、「職人になりたい」という若者の減少に歯止めをかけようという取り組みでした。ユニフォームはこれまでの職人のイメージを払拭するような斬新なデザインで、伝統工芸のイメージを刷新できたのではないかと思います。」(折井氏)

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

「また、今年は高岡銅器の色や柄を生地に着色した「オリイ・ファブリック」もプロデュースしました。スーツの裏地やポケットチーフなどに使われています。そういったファッションアイテムを通して、多くの方に伝統工芸の存在を知っていただけると嬉しいです。」(折井氏)

これまでの伝統工芸の枠を取り払い、様々な試みに挑戦されている折井さん。その甲斐あって高岡銅器は少しずつ全国に知られるようになりました。これからもメイド・イン・ジャパンの魅力を国内外に向けて発信していただければと思います。

FUMIKODA箱根山
スパークリング日本酒試飲会

当日はご来場いただいた皆様にFUMIKODAの秋冬コレクションをご覧いただきながら、幸田がデザインした「FUMIKODA箱根山」のスパークリング日本酒を試飲していただきました。

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

こちらはシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵製法の発泡タイプの純米酒。リンゴの様な香りと爽やかな酸味と豊かな甘味、キメ細かい泡が特徴で、アルコール度数5%の飲みやすいスパークリングです。

西武渋谷店地下1階の食料品売場や、楽天ショップで販売しています。

FUMIKODA 高岡銅器 トークショー

トークショー終了後記念撮影

当日はたくさんの方にお集まりいただきましてありがとうございました。そして折井さん、楽しいトークショーをありがとうございました!

折井 宏司 Koji Orii

有限会社モメンタムファクトリー・Orii 代表取締役
1970年 富山県高岡市生まれ
高岡銅器の伝統的着色技法を応用し、銅板・真鍮板へ新たな発色を確立。
建材・クラフト作品など様々な分野に提案を広げている。

2008 有限会社モメンタムファクトリー・Orii稼働
2009 経済産業大臣指定伝統的工芸品 伝統工芸士認定
2015 The Wonder 500認定、第6回ものづくり日本大賞優秀賞
2017 グッドデザイン賞受賞