バカンス写真の投稿、大丈夫? 送信する前に気をつけるべきこと

夏の暑さも本格化して、いよいよバカンスシーズン到来です。南の島でのんびりしたり、ヨーロッパの美しい街並みをたどったりする中で、「この非日常を日本にいる友達とシェアしたい!」と思う瞬間も多々あることでしょう。 でもそんな思いのままにFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアにバカンス写真を投稿してしまうと、思わぬリスクも発生します。

2011年にイギリスで行われた調査によると、空き巣の78%が、ターゲットとなる家を探すためにFacebookやTwitterなどへの投稿を参考にしていると回答しています。つまり、「1週間の旅行に出発します」と投稿するのは、「これから1週間、自宅は空き家ですよ」と宣言することでもあるのです。

ではバカンスの写真をソーシャルメディアに投稿したい場合は、どうすればよいのでしょうか? その対策を以下にお伝えしていきます。

自分の投稿は誰から見える? をおさらい

旅行に行くかどうかは別として、まずは自分の投稿が誰から閲覧可能になっているのか、プライバシー設定を見直してみましょう。たとえば、自分ではFacebookの友達だけに公開しているつもりでも、設定では全公開になっている場合があります。友達だけに知らせるつもりで「バリ滞在あと5日!」なんて投稿をしていても、設定によっては誰からでも見えてしまうのです。

これを防ぐにはFacebookの「プライバシー設定」で「私のコンテンツを見ることができる人」の中の「今後の投稿の共有範囲」を選択、「公開」となっている部分を「友達」にすればOKです。

また個々の投稿をする際にも、公開範囲が「友達」より狭い範囲になっていることを必ず確認しましょう(ただし後述するように、友達限定であっても旅行の予定の投稿は避けた方が無難です)。

一方、匿名で投稿できるTwitterのようなアカウントでは、「この投稿を見られるのは数十人、数百人のフォロワーだけで、その人たちは私のことを知らない」という思い込みに陥りがちです。が、TwitterでもInstagramでも、SNSは非公開設定にしない限りすべての投稿がネット上の誰からでも見られます。またフォロワーは自分の素性を知らないと思っていても、意外な知り合いにフォローされている可能性もあります。そのような公開の場では、旅行の予定はもちろん、自分の個人特定につながりうる情報の投稿は極力避けるのが無難です。

投稿する時に気をつけたいこと

では、ソーシャルメディア上でバカンスの報告をしたい場合はどうすればよいのでしょうか? まずタイミングとしては、旅行前や旅行中では自宅が空き巣のターゲットになってしまうリスクが高くなります。Facebookのような比較的クローズドなネットワークでも、「友達」には比較的疎遠な人までふくまれているものですし、Twitterのように誰でも見られる場で留守を宣言するリスクは言うまでもありません。非日常の感動を友達にシェアするなら、旅行が終わって帰宅してからがよいでしょう。

また、なるべく情報の公開範囲を限定し、知らせたい人にだけ知らせる姿勢も重要です。Facebookでは情報の共有範囲を細かく設定できるので、たとえば「家族だけ」「仕事関係以外の人だけ」といった友達リストを作り、必要に応じて使い分けが可能です。実家の両親に居場所を知らせておきたい、子どもの夏休みの成長を見せてあげたいといった動機であれば、LINEグループのような専用の場を作るのもひとつの手です。

位置情報の設定は大丈夫?

スマホに入っているSNSアプリの位置情報がオンになっていないかどうかも確認しましょう。ソーシャルメディアでは、投稿の際の1タップで自分の今いる位置情報を付加できるので、うっかりタップしただけでもネット全体に居場所をアナウンスしてしまう可能性があります。せっかく安全のためにバカンス自慢を封印していても、それが水の泡になりかねません。

さらに、行く先々でいろいろな場所に「チェックイン」する人もいますが、それは旅行の事実を友達やフォロワーにバラしてしまうだけでなく、ストーカー被害の元になる可能性もあります。FacebookやInstagramでは位置情報を使った検索が可能なので、たとえば旅先のバーで通りすがった人物がバーの位置情報を元に検索すると、そのバーにチェックインした人のリストが見えてしまうのです。

写真の取扱いは要注意

また、写真へのタグ付けも色々な意味で要注意です。Facebookでは、写真に写った人が誰なのか、顔認識機能を使って自動的に識別されてしまいます。そしてその人物もFacebookを使っていると、1タップで簡単にタグが付いてしまいます。「タグが付く」ということは、たとえばあなたがパートナーとの2ショットをFacebookに投稿すると、パートナーのFacebook上の友達からもその2ショットが見える状態になるということです。

個々に投稿する手間が省けるという意味で便利な機能ではありますが、タグ付けされる側の人がそれを望んでいないかもしれません。たとえば上の例で言えば、パートナーは「実家の祖母のお見舞い」を口実に休暇を取得したのに、台湾の屋台でビール片手の写真が同僚にも見られてしまう、といったトラブルにつながる可能性があります。誰かをタグ付けする場合は、本人にそれを確認してからにした方がよいでしょう

また逆に、自分自身も知らないうちに誰かからタグ付けされているかもしれません。パートナーがあなたの悩殺水着写真を、あなたの前職の上司や1回会っただけの友人の彼氏も見ているタイムラインに投下してしまうこともありえます。それを防ぐには、Facebookの「タイムラインとタグ付け設定」で「友達があなたをタグ付けした投稿をタイムラインに表示する前に確認しますか?」をオンにしたり、「あなただと思われる写真がアップロードされたときにタグ付けの提案が表示される人」を非公開にしたりといった対応が可能です。

タグ付け設定

写真といえば違う意味でセンシティブなのは、子どもの写真です。parentingでは、ソーシャルメディアでシェアすべきでない子どもの写真として、入浴中の写真、他人の子どももふくむグループ写真、危険な行為をしているときの写真などをあげています。水着を着用した写真なども、見る人によっては性的なイメージを持たれる場合があり、そうでなくても子ども本人が恥ずかしいと感じるかもしれません。自分の子どもであっても知人の子どもであっても、子どもの写真の共有は、自分の写真以上に慎重になるべきでしょう。

SNSより旅行そのものを楽しんで

このように注意点をあげていくと、なんだか重箱の隅をつついているように堅苦しく感じられてしまうかもしれません。でもそもそも、そんなに気を使って投稿したところで、他人のバカンス写真に興味がない人が多いのも事実です。興味がないどころか、イギリスの保険会社Avivaの調査によれば、73%の人が他人のバカンス写真をうっとうしく感じると回答しています。 であれば、旅先でのシャンパンの美味しさをいかにソーシャルメディアで表現するかを考えてエネルギーを浪費するよりも、旅行中はソーシャルメディアのことはいったん忘れた方がいいのではないでしょうか。そしてその方が、旅行の本来の目的である、自分自身のリフレッシュにもつながるように思われます。ネットの向こうの見えないリスクに煩わされることなく、ぜひ目の前の海や街や人を満喫してほしいです。

Source: AdWeek, parenting, Aviva